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2012年3月23日 (金)

18世紀ファッションに思いを馳せる

全く知らない世界に触れてみたいと思っていたら、ある友人がミシェル・サポリ著『ローズ・ベルタン』を薦めてくれた。副題に「マリー=アントワネットのモード大臣」と書かれている。昔、マリー=アントワネットをめぐる展覧会に関わったことを思い出しながら楽しく読んだ。

この本は、マリー・アントワネットが重用したモード商のローズ・ベルタンについて論じたものだが、その流行ぶりが半端じゃない。マリーーアントワネットが身につけるつける新しいファッションは、たちどころにフランスの貴族たちが買い求め、さらに欧州中の宮廷に広がる。目玉が飛び出るほど高い金額は、各国の政府を財政難に追い込むほどだったという。各国の古文書には、ベルタンからの多額の請求書が見つかるらしい。

モード商(モディスト)は、仕立て屋と違う。製造業ではなく、職人たちが生産した商品を顧客ごとにアレンジする。帽子も時計も靴も手袋も。終身雇用で30名ほどを自分の店「オ・グラン・モゴル」に雇い、何百という製造業者や卸売業者から仕入れる。今日のブランドの起源だ。モード商は同業者組合として新たに認められ、婦人モードを確立する。

当時のモード雑誌に載った髪型と帽子の見本が載っていて、思わず笑ってしまう。頭の3倍くらい高さまでいろいろなものを付ける。

アントワネットはベルタンとの間に「レズ疑惑」があったという。もちろんアントワネットが宮廷に広める浪費を非難するために作りだされた噂のようだが、彼女は女性画家のヴィジェ・ルブランともそういう噂があった。ルイ16世のいかにも魅力のなさそうな肖像を見ると、ひょっとしてと思うのは、私だけではないだろう。いずれにしても、アントワネットのファッションがほぼ一人の手になるものだとは知らなかった。

ベルタンは、アントワネットが革命政府にテンプル塔に幽閉されてからも、スカーフや手袋を納め続ける。最期の服も彼女の手になる。そして革命政府の追及を逃れて、ロンドンに亡命する。

18世紀フランスのファッションの世界という、全くの非日常に浸れる楽しい本だった。

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