« この春はアート系映画が百花繚乱 | トップページ | 松井冬子展を横浜に見に行く »

2012年3月 9日 (金)

「暴力団」の基礎知識

幸か不幸か、知り合いに暴力団とかヤクザはいないので、もっぱらその姿はテレビや映画でばかり見てきた。島田伸介が山口組との交際を理由に芸能界を引退したというニュースを聞いても、本当のところはわからなかった。溝口敦著『暴力団』には、その現状が噛み砕くように書かれている。

暴力団は伝統的に、3つに分かれる。博徒系、テキ屋系、愚連隊系。愚連隊系は敗戦直後の混乱期に不良学生や復員兵などが集まったもので、後から出てきた暴走族とは違う。暴走族はかつては暴力団へつながっていたが、現在は暴走族そのものが壊滅状態にある。

暴力団のシノギ、つまり資金獲得方法は、伝統的に覚醒剤、恐喝、賭博、ノミ行為の4つ。組の名前を使って、これらを繰り広げ、幹部に上納金を収める仕組みだ。最近はみかじめ料、民事介入暴力、企業対象暴力の収入が増えている。現在はみかじめを払うと払った方も逮捕されるので、飲食店ビルのオーナーが家賃に含めて暴力団に収めている。

市川海老蔵事件で名を売った元暴走族の集まり「関東連合OB」は、暴力団と一線を画し、六本木のクラブを経営したり、振り込み詐欺をしたりしながら独自に違法行為を続けている。こうした「半グレ」集団は、警察の目が届いていない場合が多い。彼らのシノギは、ほかにヤミ金融、貧困ビジネス、解体工事、産廃運搬、出会い系サイトなど。

海外には暴力団に似た存在として、イタリアやアメリカのマフィア、香港の三合会、台湾や中国の流氓(りゅうみん)、コロンビアのカルテルなどがある。海外と比べて日本の暴力団の特徴は、その公然性にある。繁華街に公然と事務所を構え、暴力団の名刺を配って威嚇するのは日本だけ。日本の暴力団に近いのは台湾流氓。平気で市街で銃撃戦をやる。

かつて暴力団と警察は裏取引が常識だった。覚醒剤に目をつぶるから、拳銃を出せという類の取引をし、警察は手柄とした。暴力団対策法が1993年にできて裏取引は減ったが、暴力団の数は減らない。筆者はそうすると警察の仕事が減るからだという。何より暴力団の存在自体が違法ではないのが大きい。

この本の最終章は、「出会ったらどうしたらよいか」。暴力団と関わった時の対処法が懇切丁寧に書かれているが、これは読んでのお楽しみにしよう。

あとがきで筆者は、山口組五代目批判の本を書いた時に、初版分の印税を出すから出版をやめろ、と言われたことを明かす。それを断って出版したら、3か月後に左の背中を刺されたという。この本を出して大丈夫だろうか。

|

« この春はアート系映画が百花繚乱 | トップページ | 松井冬子展を横浜に見に行く »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/54176418

この記事へのトラックバック一覧です: 「暴力団」の基礎知識:

« この春はアート系映画が百花繚乱 | トップページ | 松井冬子展を横浜に見に行く »