« 18世紀ファッションに思いを馳せる | トップページ | 『影の部分』の影の部分 »

2012年3月24日 (土)

2日連続のステラン・スカルスガルド

スェーデン出身で、いつも存在感のある名脇役を演じるのが、ステラン・スカルスガルドだ。ラース・フォン・トリヤーの常連だし、『ドラゴン・タトゥーの女』にも出ていた。最近も2日連続して彼の出演作を見た。4月28日公開の『孤島の王』と、上映が終わりつつあるトリヤーの『メランコリア』。

2本とも展開の予想が難しい奇妙な映画だ。『孤島の王』は、20世紀前半の孤島の少年院を告発する映画かと思うとサスペンスに転じてゆくし、『メランコリア』は無茶苦茶な内容なのに終わりまで見るとなぜか納得する。どちらもスカルスガルドが嫌な中年の役で、いい味を出している。

『孤島の島』はノルウェー映画で、実際にあったバストイ島の少年院が舞台。1915年に実際の起こった少年たちの反乱をもとにしたもので、最初は隠された暗黒の歴史を暴く映画かと思って見始めた。巨大な鯨の映像に始まって、全体に審美的なショットが目立つ。少年たちは確かに過酷な日々を送っているが、彼らの鋭い視線は人間味が感じられ、スカルスガルド演じる院長も妙に理解がある。

それでも少年たちは反乱を起こし、職員たちは院長役を始めとして島から逃げ出す。そしてやってくる武装警官たち。この警官たちが乗った巨大な船が見えたあたりから、映画はアクションとサスペンスの方向へ転がり始める。悲惨な日々を映像美で描いていたのに。雪と氷の中のアクションが繰り広げられ、見終わって「フーっ」と溜息をつく。おもしろかったけれど、これでいいのかな。社会派と映像美とアクションのテンコ盛り。

『メランコリア』は、昨夏飛行機で見ていたが、もう一度映画館で見てよかった。この魅力は映画館でないと半分も伝わらないだろう。実際飛行機で見た時、後半の第2部はほとんど寝ていたことが今回わかった。もともとカメラはわざといつも揺れているし、後半に至っては飛行機の中のような妙な低音がいつも響くし。明らかに眠りを誘っている。

これでもかというほど嫌味な人物が出てきて、無意味なドラマが展開する。それでもワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』の序曲に引っ張られながら、欧州の憂鬱にたっぷり浸かる快感がある。この監督は最近現代美術に近づいている感じなので、グリーナウェーのようにダメになるかもしれない。

|

« 18世紀ファッションに思いを馳せる | トップページ | 『影の部分』の影の部分 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/54294736

この記事へのトラックバック一覧です: 2日連続のステラン・スカルスガルド:

« 18世紀ファッションに思いを馳せる | トップページ | 『影の部分』の影の部分 »