ティルダ・スウィントンの映画『少年は残酷な弓を射る』
ティルダ・スウィントンという女優は、昔デレク・ジャーマンの映画で出てきた時から、エキセントリックだった。ボーイッシュで性を超えたような存在でありながら、時おり見せるエロテッィクな感じが好きだ。最近では製作にも関わり、『ミラノ、愛に生きる』などはまさに彼女のための映画だった。
6月30日に公開されるリン・ラムジー監督の『少年は残酷な弓を射る』は、それにもまして彼女が全体を支配しているような映画だ。
映画は冒頭から彼女が演じるエヴァの夢か現実かわからないような場面で始まる。そして息子に面会に行く刑務所で、彼女の回想は始まる。その回想の中にもエヴァの心的風景が混じる。
神経質なエヴァは、なぜか息子ケヴィンとうまくいかない。その苛立たしさは、息子が大きくなるにつれ、増大する。次に生まれた娘とは問題がないのに。青年になったケヴィンは、弓を射ることが趣味だ。弓を射る姿の美しさと恐ろしさ。その一方で、夫役のジョン・C・ライリーが母と息子の神経戦を全く理解できず、いい味を出している。
結局は、映画自体がティルダ・スウィントンの妄想だったのではないかと思いたくなる。個人的には好きなタイプの映画ではないので見始めた時はすこしきつかったが、緊張感はどんどん高まり、112分間も長くは感じなかった。
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