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2012年3月27日 (火)

イ・ブルのようなものとワン・ピース

森田芳光監督の最初の劇場用映画は『の・ようなもの』という題名だったが、久しぶりにこの言葉を思い出した。六本木の森美術館で開催中の「イ・ブル展」を見ながらのことだ。この韓国の女性作家は、15年ほど前に小さな個展を見た記憶がある。

当時は、宙にぶら下がる未来的な造形を見ながら、それなりにおもしろいと思った。しかし今回の展覧会は森美術館で会場が普通の美術館よりずっと広い。会場にはさまざまな「のようなもの」があった。

まず最初に草間弥生を思わせる、フェミニズムを押し出した造形。その延長線上にあるような、化粧や装飾をテーマにしたようなもの。それから村上隆を思わせるアニメ的世界。そして未来的なメカニックなかたまり。

現代美術の世界で受けるために何でもやりました、という感じがして痛々しかった。こんな大きな個展をやるほどの作家ではないのかもしれない。

森美術館の1つ下の階の「森アート・センター」では「One Piece ワン・ピース展」が開催中。集英社の同名の漫画によるアニメがテレビや映画で大ヒットという話は聞いていたが、ものすごい混雑だった。日時指定のチケットが売られていて、午後3時頃には次は5時半からのチケットしか買えない状態。チケットを買った人も中で何十分も待たされているようだ。もちろん入らなかったが、その人気ぶりに驚いた。主催の朝日新聞、集英社、東映アニメ、フジテレビ、アサツーDK、みんな大儲けだろう。

「美術館」で自前の企画で現代美術をやり、「アートセンター」はマスコミに会場を貸し出して、大量動員をする。国立美術館にも見られる、まさに日本的な美術状況だ。「イ・ブル展」は5月27日まで、「ワン・ピース展」は6月17日まで。

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