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2012年3月 8日 (木)

この春はアート系映画が百花繚乱

新学期に学生に配る「見るべき新作リスト」を作ろうと調べていたら、この春にとんでもない数のアート系監督の映画が集中していることがわかった。上映中の作品でも、まずタル・ベーラの『ニーチェの馬』(イメージフォーラム)とイオセリアーニの『汽車は再び故郷へ』(岩波ホール)、ラース・フォン・トリヤーの『メランコリア』(新宿武蔵野館)がある。

3月31日公開は、ダルデンヌ兄弟の『少年と自転車』(文化村ル・シネマ)とケン・ローチの『ルート・アイリッシュ』(銀座テアトル・シネマ)の一騎打ち。4月7日にはアカデミー賞組も加わる。作品賞、監督賞など主要5部門受賞の『アーティスト』(銀座シネスイッチ、シネマライズほかシネコン)に、外国語映画賞のイラン映画『別離』(文化村ル・シネマ)。

そして4月28日には、カウリスマキの『ル・アーヴルの靴みがき』(ユーロスペース)が参戦。5月26日はアルモドバルの『私が生きる肌』(シャンテとシネマライズ)とアカデミー脚本賞のウディ・アレン『ミッドナイト・イン・パリ』(文化村ル・シネマほかシネコン)、同じ5月中にソクーロフの『ファウスト』(銀座シネスイッチ)も。

カンヌのコンペ級監督の作品がざっと11本。こりゃ、学生に全部見なさい、と言うのは難しいかもしれない。アート系(少し前はミニシアター系や単館系と呼んだが)映画の不況が叫ばれて久しいが、こんなに見られるじゃないか、と思ってしまう。もちろん問題はこれらがある程度当たらないと次がない、ということだが。でもこんなに集中していたら学生でなくてもみんな見られない。勝手なお願いだが、話し合ってもっと年間で分散してほしい。あるいはスタンプラリーでもやって、5本目はタダとかして欲しい。無理か。

このリストを見ていて、気付いたことがある。ある監督の映画を同じ配給会社が決まった映画館でやる、ということがほぼなくなったということだ。かつてはこれがミニシアターの個性を作った。これが当てはまるのは、ユーロスペースが自社配給するカウリスマキの『ル・アーヴルの靴みがき』くらい。ダレデンヌ兄弟はいつもながらビターズ・エンド配給だが、今回は(たぶん)初めての文化村。かつてはユーロスペースで上映していた。そういえば、アルモドバルだって、初期はユーロスペースが配給・興行していた。それからギャガに移り、その後は転々。

今回文化村では、事前にダルデンヌ兄弟の主要作品や『別離』のアスガー・ファルハディ監督の前作『彼女が消えた浜辺』まで上映する。これはまさにユーロスペースがやっていたようなことだ。「ミニシアターの個性」などと生ぬるいことを言っていたら、生き残れないということだろうか。

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