フランス女性監督特集3本
最近、飯田橋の日仏学院に行く回数が減った。かつて忙しかった時は、敢えて誰も見ないマニアックな映画を見たかったが、大学で教えるようになって、普通の映画を映画館で見ることが増えたからだ。先日「フランス女性監督特集」があったので、久しぶりに3本見た。
どれもレベルが高い。フランスで評判の高いレベッカ・ズロトヴスキのデビュー作『美しき棘』は、出だしからすごい。女教師にしかられて上半身裸になり、「今度やったら警察に突き出すからね」と言い渡される2人の女子高生。そのうちの1人を演じるレア・セドゥが主人公で、バイクに憧れたり、いきなり男性を自分から誘ったり、何を考えているかさっぱりわからない。
突然伯父の一家のシーンになったり、死んだはずの母親が現れたり、ストーリーはわかりにくいけれど、女子高生の生きる痛みが、ひしひしと触感として伝わってくる。すごい才能だ。日本ではDVDで既に発売されている。
セリーヌ・シアマ監督の『トムボーイ』は、逆に実によく構築された脚本が光る。引っ越してきた少女ロールは、なぜか近所の子供にミカエルと名乗り、男の子と思い込ませる。ロールを好きになる少女リザも現れて、どんどん危ない方向に進む。実はパンフを読んでいなかったので、見ている私も少女と思い込んでいて、映画の後半でリザと同じように「えーっ」となってしまった。撮影も丁寧で、好感の持てる小品。
この2人とも1980年生まれで、FEMIS(フランス国立映画学校)脚本コース出身。30歳でこれだけハイレベルの作品を作れる監督は、日本にはなかなかいない。
ミア・ハンセン=ラヴの『グッバイ・マイ・ファーストラヴ』は、『あの夏の子供たち』が記憶に新しい監督の新作で、実は昨夏パリで見ていた。日本語字幕つきで見て、感動を新たにした。15歳の少女の一途な思いと時間の経過が残酷なくらい鮮烈に描かれていて、見終わって呆然としてしまった。知り合いのフランス人女性に会ったら、『あの夏の子供たち』よりずっといい、と言っていた。私はそうは思わないが、ぜひとも日本で公開して欲しい。
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