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2012年3月15日 (木)

地に足のついた現代美術:野田裕示展

松井冬子の華麗なパフォーマンスのような展覧会についてWEBRONZAで書くことになり、丸1日画集を眺めていたら、もっと普通の現代美術を見たくなった。そこで足を運んだのが、国立新美術館で開催中の「野田裕示 絵画のかたち/絵画の姿」展。

入った瞬間に嬉しくなった。カンヴァスの中に、カンヴァスに包まれた木枠が詰め込まれている。あるいはカンヴァスが盛り上がったり、波打ったり。あるいは絵の真ん中でカンヴァスが終わり、別のカンヴァスが始まったり。絵とは何か、画布=カンヴァスとは何か、色とは何か、形とは何か。見ながら絵画の根源について考える。

そんな頭でっかちな状態になりながらも快いのは、野田の作品の色合いや形のリズムが自然や人間そのものを感じさせるからだ。すべて抽象画だが、何かの形になる直前のような、あるいは形を壊した直後のような躍動感がある。穏やかな橙や、緑や、クリーム色などの重なりが、どこか大地のような温かみを感じさせ、見ていて抱擁されているような気持ちになる。

最後のあたりにあった、10点の連作大作は、まるでムーミンが生まれる瞬間を描いたようで、何ともユーモラスで心温まるものだった。地に足の着いた日本の現代美術の成果の一つがここにある。4月2日まで。

国立新美術館の現代美術の個展は、時々大当たりだ。「野村仁展」「松本陽子/野口里佳2人展」など秀逸なものを記憶している。毎年の「アーティスト・ファイル」というコンセプト不明のグループ展を止めて、こうした個展に絞った方がいいのではないか。

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