« フランス映画のレトロ趣味 | トップページ | ごますりは組織を滅ぼす »

2012年4月15日 (日)

日本の食をめぐる2冊

グルメを巡るシリーズをWEBRONZAに書きはじめたので、にわか勉強とばかりに2冊の文庫を読んだ。原田信男著『日本人は何を食べてきたか』と宮崎正勝著『知っておきたい「食」の日本史』。

2冊を読んで一番驚いたのは、古代の日本人は北海道と沖縄を除いて、シカとイノシシが主なタンパク源だったことだ。つまり狩猟、牧畜社会だった。それが、平安時代あたりから仏教の影響もあって、農耕社会へと変化してゆく。

そうして魚介の採取も発達し、鎌倉時代以降は茶を飲むことが始まって、茶懐石が完成する。今の日本料理は江戸初期に完成した茶懐石を基本としている。安定した時代が長かった江戸時代は、外食が盛んになる。そば、ウナギ、すし、おでん、天ぷらなどが屋台で気楽に食べられるようになる。

「幕の内弁当」も江戸時代にできたようだ。これは歌舞伎見物のために売り出された。今も歌舞伎を見て弁当を食べると懐かしい感じになるのは、そういうことなんだと思う。

そのほか2冊には、どの食材がいつから日本に来たということが詳細に描かれている。味噌は平安時代で、味噌汁の普及は室町時代に茶懐石が普及してから。醤油は鎌倉時代。醤油が伝わって魚を生で食べる刺身が広まる。日本に砂糖を伝えたのは鑑真。みんな中国からやってきた。江戸時代に琉球のサトウキビから砂糖を作るようになる。

我々が「日本古来の食事」と思っているものが、実は近世以降に輸入品をもとにできたと考えると、「日本的」なるものの概念が大きく揺らいでゆく。

|

« フランス映画のレトロ趣味 | トップページ | ごますりは組織を滅ぼす »

グルメ・クッキング」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/54467050

この記事へのトラックバック一覧です: 日本の食をめぐる2冊:

« フランス映画のレトロ趣味 | トップページ | ごますりは組織を滅ぼす »