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2012年4月23日 (月)

松下政経塾出身はなぜダメか

なぜ民主党政治がうまくいっていないかについては、いろいろな理由があるだろう。先日朝日新聞デジタルのWEBRONZAに載っていた、榊原英資氏の「松下政経塾出身だからだめなのだ」という意見には、私には説得力があった。

「現在の内閣は総理、外務大臣、政調会長など、主要閣僚や党の中枢が松下政経塾出身。別に政経塾だから悪いというわけではないが、若いときから政治家を目指し、政経塾から県会議員などを経て、国会議員、そして閣僚や総理というコースが定着してきている。
 政治一筋が必ずしも問題というのではないが、民間企業や行政の経験も全くなく、またそうした分野での人脈もない。かつての総理たちは民間、あるいは行政の経験を持った人たちが多かった。池田勇人は大蔵次官、田中角栄は自ら企業をマネージしていた。
 これに対し、政経塾出身の政治家たちは選挙や演説のプロではあるが、企業経営も行政も知らない」

「多くの大学卒業生たちは、20代は企業や行政で下積みの仕事に従事し、やがてその道の専門家に育っていく。20代から演説を覚え、選挙を目指すような人たちが本当にいい政治家なのだろうか。企業や行政の経験もない政治一筋のいわば政治屋ではないのだろうか」

確かに一般の社会で働いた経験がない政治家は、信用できない。若い頃は上司の下で苦労し、次第に若者を率いるようになる社会の経験がなければ、行政を束ねたり、東電の企業の再生を考えるのは難しいだろう。

そう考えてみたら、大学の教師も似ている部分がある気がした。これから社会に出てゆく学生に4年間も教えるのが、大学から大学院、助手を経て教授に至る人々が大半だというのは、問題が大きいと思う。もちろん特に理系など、研究一筋でたどり着く高いレベルもあると思いが、みんながそうである必要はない。私自身が会社員を23年もやって大学教員になったから言うのではないが、もっと社会経験のある教師が増えた方がいい。

大学卒業後、数年働いた後に大学院に行くとか、大学を出て十数年働いた後にその専門性を認められて大学で教えるとか、もっともっと自由な行き来が欲しい。そのためには社会の側も、一律でないもっと自由な採用をしないといけない。結局、大学と行政や企業の固定した採用システムに、問題はたどりつく。

ちなみに私も民主党政治は稚拙だと思うが、何十年の自民党支配の悪を考えたら、まだマシだと思っている。

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