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2012年4月12日 (木)

東海テレビの『死刑弁護士』に驚く

6月末に劇場公開される東海テレビ製作の『死刑弁護士』を見て、驚いた。試写を見に行ったのは、オウムの麻原彰晃や和歌山カレー事件の林眞須美、光市母子殺害事件の元少年などの死刑囚の裁判を担当した弁護士を追ったドキュメンタリーだと試写状に書かれていたからだ。

最近、東海テレビが製作した『平成ジレンマ』や『青空どろぼう』が話題になっていたのも気になっていた。結果は大当たりで、やはり並外れた人物を撮ったドキュメンタリーはおもしろい。

弁護士の名は安田好弘、64歳。担当中の事件は55件で、うち8件が死刑事件。白髪で、静かだが強い意志を感じさせる語り口で「マスコミは嫌いだ。強者の側だから」と言うあたりから、画面に引き込まれる。そして林眞須美からの手紙。明らかに知的で、今までテレビなどを通じて彼女に対して持っていたイメージと違う。安田はこの事件を証拠不十分とし、「夫婦で詐欺をやって豪華な生活をしていたのですから、一銭の得にもならないことをやるはずがない。この裁判は勝てなければ、弁護士として恥です」と言う。

和歌山カレー事件のように、冤罪の可能性がある裁判ばかりではない。光市母子殺害事件のように、殺したのは間違いないが、情状酌量の余地がありそうな裁判にも徹底した証拠主義で挑む。あるいはオウムの麻原に対しても、彼だけにすべての責任を持っていき、早く死刑に持ち込もうとする警察や検察に疑問を唱える。

驚いたのは、そんな安田を検察が別件で身柄を拘束したことだ。「顧問を務める不動産会社に資産隠しを指示した」という容疑だ。やっかいな安田をオウム事件からはずすことが目的で、10ヶ月も投獄される。安田の事務所への家宅捜索がビデオに撮られているが、容疑とは関係のないオウム関係の資料を片端から調べる様子が克明に写される。

安田は鎌倉の自宅には月に1、2度しか帰らない。あとは仕事漬けで都心の小さなアパートに寝る。「後悔してますよ、親らしいことができなかった。父兄参観も運動会も行ったこともない」。

こんな弁護士がいるとは知らなかった。マスコミの報道では伝わってこない真実があるものだと改めて思った。演出のレベルが高いわけではないが、途中からそんなことはどうでもよくなるくらいおもしろい。

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