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2012年4月 7日 (土)

ヒューマニズム溢れる映画2本

ヒューマニズム溢れる映画を2本見た。5月12日公開のブルガリア映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』と6月9日公開のフランス映画『キリマンジャロの雪』。ヒューマニズムは、もちろん現在公開中の『少年と自転車』にだって『別離』にだってあるのだが、この2本はそれが冒頭から前面に出ている。

『さあ帰ろう、ペダルをこいで』は、自動車事故で両親を亡くし、自分も記憶喪失に陥ったブルガリア出身の青年が、故郷から来た祖父と共に自転車でブルガリアを目指す話だ。こう書いただけで、濃厚な物語が匂ってきそうだ。

映画はかつて両親と共に子供がブルガリアから不法移住した頃と現代の2つの時代を行き来しながら描く。鍵を握るのはバック・ギャモンというゲームで、小さい頃祖父に習った青年は、祖父と再会してゲームを一緒にすることで記憶を取り戻してゆく。そして飛行機や列車でなく、二人乗りの自転車で欧州を縦断するという設定もいい。その中で記憶が蘇り、過去が現在につながってゆく。

『キリマンジャロの雪』は映画が始まった時、とんだお涙頂戴のメロドラマかと思った。南仏を舞台に、夫がリストラにあった中年夫婦が出てくる。ところがその夫婦に強盗が入り、その強盗がリストラされた若い元同僚とわかったところから、予想外の展開が始まる。

この映画が途中から目が離せなくなるのは、犯人やその母親がリアルで、あくまでわかりあえない存在だということだ。登場人物全員がいい人ばかりのドラマかと思って見ていたが、そんなことはない。監督の視点はあくまで長年労働組合を戦ってきた古いタイプの左翼にあるが、現在の問題はそれでは解決できないこともわかっている。そんなそんな謙虚な姿勢が、この映画に強いリアリティを与えている。それにしても、ヨーロッパ中産階級のヒューマニズムの強さに驚く。

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» 『キリマンジャロの雪』お薦め映画 [作曲♪心をこめて作曲します♪]
労働組合だけが闘う場ではない。仲間のため、社会のためにできることは身近に転がっていたのである。もともと善良だったミシェル夫妻だが、人を助けることで更に気持ちが変化していく。ボランティアはお互い様。思いやり、赦し、助け合いの精神は、両者を救うことを教えて…... [続きを読む]

受信: 2012年6月24日 (日) 15時59分

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