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2012年4月25日 (水)

印象の薄い映画と美術展

六本木で空いた時間を利用して、6月2日公開の映画『ジェーン・エア』の試写を見て、「大エルミタージュ美術館」(「大」とは何と恥ずかしい!)の内覧会に行った。一日のうちにスケジュールを詰め込みすぎたせいか、どちらも印象が薄かった。

『ジェーン・エア』は、『闇の列車、光の旅』が好評だったキャリー・ジョージ・フクナガ監督が、英国文学の古典を映画化したもの。白状すると『ジェーン・エア』は読んでないのだが、見ていて「原作を知らないと、展開が唐突すぎるのでは」と思った。ジェーン・エアの悲しい少女時代は、エピソード風でどうもリアリティがない。家庭教師として雇われた主人と、身分の違いを超えて相思相愛になる展開も、主人に幽閉した妻がいたという衝撃も、どうもピンとこない。

イギリスには『アラビアのロレンス』とか『炎のランナー』、『日の残り』、『眺めのいい部屋』など、個人的にはよその話にしか見えないコスチュームものが多い気がする。文学や歴史的要素が過多で、情感たっぷりに作ってあるのだけれど、私にはあまり訴えかけてこない。

『ジェーン・エア』は、どのシーンも丁寧に作られているし、撮影も衣装もセットも見ごたえがある。主演のミワ・ワシコウスカの耐える表情もはまっている。でも、私はこの世界には縁なき衆生だと思った。

「大エルミタージュ展」は、何とも散漫な展覧会だ。副題に「西洋絵画の400年」とあるが、本当に16世紀のティツィアーノやヴェロネーゼから始まる。それから17世紀オランダ絵画、18世紀のロココへと進む。そうして印象派を経て20世紀のマティスまで。全体に派手で悪趣味な絵画が多い。有名な絵と同じ構図で無名の画家が描いた絵がいくつかあって、興味深いが気持ち悪い。

そうした中で、マティスの大作《赤い部屋》は際立っている。赤を背景に、青い模様があちこちに駆けめぐり、窓の向こうに緑の風景が広がっているのを見ると、気が動転してくる。展覧会自体が散漫な印象だが、これはあえて意識的な散漫さをめざしたような絵画だ。この展覧会は7月16日まで開催し、名古屋、京都に巡回。

会場で「ベルリン国立美術館展」(6月から西美)、「メトロポリタン美術館展」(10月から都美)、「リヒテンシュタイン美術館展」(10月から新美)のチラシをもらった。開催中の「ボストン美術館展」などを考えると、コンセプトのない「〇〇美術館展」が多すぎる。

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