『映画欠席裁判』を読み飛ばす
最近は文庫や新書で映画関係の本が出ると、一応買うことにしている。最近軽く飛ばしながら読んで楽しめたのが、町山智浩、柳下毅一郎の対談『ベスト・オブ・映画欠席裁判』。文庫といえど、1000円近くするし、分厚い。
『映画欠席裁判』は、雑誌『映画秘宝』で連載した町山と柳下の対談が3冊の単行本になり、この文庫はそのいいところを集めた総集編。私は『映画秘宝』もまともに読んだことはないし、単行本も読んでいなかったが、この2人は大学生にも人気があるので、気になっていた。
一番おもしろいのは、最初に出てくる「『キネ旬』『映芸』ベストテン大検証」。『キネ旬』の評論家が「私情を完全に捨てて映画の完成度だけを評価する」ことを非難する。その代表格が品田雄吉。あるいは佐藤忠男。「今やアジア映画評論家になった佐藤忠男は昔、クンフー映画をバカにしてたんだよ」。
「『キネ旬』は業界誌みたいなもんだから映画会社よりだけど、『映芸』のほうはゴールデン街的。まだ映画マニアに近い」。74年の『キネ旬』で『燃えよドラゴン』に満点を入れたのが、小森和子、竹中労、河原畑寧、五木寛之。『映芸』では蓮實重彦。「蓮實といえば、ゴダール、小津にブレッソンだと思っている蓮實イモどもは、ちゃんとスピルバーグや『燃えドラ』も見ておけよ」。
「79年の『キネ旬』ベストは、『旅芸人の記録』に『木靴の木』、それの当時はビスコンティがブームなんですね。オイオイって感じ(笑)。まんま岩波ホールの世界」。その年の『エイリアン』はベストテンにいらず、評価しているのは石上、河原畑。『マッドマックス』を評価しているのは、宇田川幸洋、二階堂卓也。『ゾンビ』は二階堂のみ。
そんな具合に「お文化」な評論家たちを批判してゆく。その後は90年代後半から2000年代前半のアメリカ映画を中心に言いたい放題。個人的にこの時期は仕事が忙しくてアメリカ映画はほとんど見ていないので、流し読み。アメリカ通の2人が、評論家や映画業界を揶揄する構図は変わらない。特にやり玉に挙がるのが、字幕翻訳家の戸田奈津子と20世紀フォックスの宣伝部長だった古澤利夫。
メジャーのアメリカ映画の裏話に通じ、「お文化」をバカにして日本の映画業界の裏話を交えた本音トークというのが、今のネット時代の若者に受けるのだろう。私には、「アメリカでは」という昔ながらの「出羽の守」に、業界ヨタ話を足しただけにも見えるが。
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