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2012年5月18日 (金)

コカンワカシュウ?

「古今和歌集」ではない。木下直之著『股間若衆』を読んだ。副題は「男の裸は芸術か」で、表紙は公園にある男女の像で、男性器がきちんと見える。これは奇書だと思って買った。

ページをめくると、男性の裸体彫刻写真が続々と出てくる。必ずしも股間がはっきりしているとは限らない。筆者は最初に1996年に北区赤羽駅前に設置されたふたりの青年像をサカナにする。「本当に全裸なのか、それともパンツだけは穿いているのか、はたまたパンツが身体と渾然一体と化してしまったのか判然としない。いかにもそれは“曖昧模っ糊り”としたままである」。

筆者は日本中を歩き、男性裸体彫刻を見つけては写真に撮って論じる。そして明治に遡って、裸体彫刻をめぐるさまざまなエピソードを教えてくれる。おかしいのは、股間に木の葉型の葉っぱをつけている彫刻が多いことだ。あるいは生人形という見世物の裸体のリアルな男性器まで写真で見せてくれる。

第1章は「股間若衆」、第2章は「新股間若衆」(新古今)、第3章は「股間漏洩集」(=古今朗詠集?)、そして付録が「股間巡礼」。何ともふざけた本なのだが、読み進めるうちに、この国の西洋文化に対する憧れとタブーのコードの戯れが浮かび上がってくる。それは今も解決されていない。

最後の「股間巡礼」は、巡礼のモデルコースまで挙げられている。「西武池袋線沿線をゆく」とか「城下町金沢になごむ」とか。「股間若衆」が生息するのは、「男たちが裸になる場所、裸になっただけでは物足りずに自慢したりする場所」らしい。つまり「競技場、体育館、プール、青年文化センター」らしい。

著者の木下さんは東大教授だが、彼が美術館の学芸員だった頃、20年近く前に一緒にフランスに行ったことがある。リヨン駅前の彫刻を見て、「あっ、駅前彫刻だ」と真剣に写真を撮っていたのを思い出した。

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