国際会議は楽しい
今回ケープタウンの国際会議に参加するために乗った香港行きの飛行機で、いくつもの新聞を読んだ。思わず笑ってしまったのが、日経新聞朝刊文化面の蓮實重彦氏の長い文章。題して「会議が多すぎはしまいか」。
会議に出るために丸一日かけて旅行しようという時に、何と皮肉な内容だろう。書かれているのは、会議は何の役にもたたないということだけだが(その割にはずいぶん長い)、それは蓮實氏のような並外れた才能の持ち主だから言えることだろう。
私が今出ている会議も、特に何か目新しいことを学ぶわけではない。2年に一度、今さらながらのテーマで、ああでもない、こうでもないと数日間話し合う。退屈と言えば、退屈だ。それなのに、今年も45カ国から150人ほどの人々が集まってきた。
こうした同業者の集まりは多い。学会などはその典型だが、かつて日通の美術輸送の担当者から、「世界美術輸送者会議」なるものさえあることを聞いたことがある。カンヌなどの国際映画祭だってその一種だ。
日常から離れ、同じバッジをつけて少しだけ特権的な意識に浸りながら、いつもとは違う瞬間を過ごす。とりわけ世界中の同業者と共通の問題を語り合う。その共同体的な感覚は、悪いものではない。外国人の話す内容に、急に初心に帰ったり、大きなヒントをもらうこともある。ディナーやエクスカーションなども含めて、いささか退屈で怠惰な幸福感を味わうことができる。
少なくとも凡人には、こうした国際会議は楽しいし、役に立つ。
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