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2012年5月26日 (土)

『あの日あの時 愛の記憶』の一点突破

誰にも、心の奥底にしまっている過去がいくつかある。それが恋愛なら、なおさら人には言えない。この映画の場合、それがナチスの収容所での恋愛で、戦後30年あまり封印してきた記憶が、突如蘇る。

映画は、ナチス収容所の場面から始まる。一転して、1976年のニューヨークで、幸せな家庭に暮らす50代の女性。クリーニング屋で見たテレビのインタビュー番組に出ていた男を見て、「彼だ!」と思うところから物語は始まる。

どんどん蘇る過去の思い出。収容所の過酷な日々と逢引き。自宅では夫の大事なパーティが始まるというのに、気もそぞろだ。パーティが始まっても電話をかけまくり、「彼」の消息をさぐる。その合間に出てくる収容所の恋愛の行方と逃亡の日々。

彼はどうなったのか、生きているのか、そして主人公は会えるのか。その一点だけで映画を引っ張ってゆく。パーティーのシーンや夫とのやりとりが少しくどいが、全体として脚本はよく練られており、演出も丁寧で、ラストに向けて盛り上がる。

終わりのあたりで、私は不覚にも泣いた。映画そのものよりも、自分のことを考えて、身につまされた。もちろん平和そのものの時代なので比べようもないが。8月公開というが、意外と当たるのではないか。
後半の演出のうまさについて書きたいが、こういう一点突破の映画でそれをすると、全部ネタばらしになってしまう。

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