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2012年5月24日 (木)

またロマンポルノを見る

またユーロスペースにロマンポルノを見に行った。神代辰巳監督の『四畳半襖の裏張り』(1973)。また宮下順子だ。これも30年近く前に見て、衝撃を受けた映画だった。今回はニュープリント。

かつては、黒地に白抜きで「男は顔じゃない」「初会の客に気をやるな」といった文字、新内節のような歌、「号外、号外」などの通りの声、あるいは米騒動やシベリア出兵などの写真が、男女の絡みの中に突然混入してゆくのを「ゴダールみたいだ」と言った記憶がある。

今見ると、そんな驚きはない。むしろ喜劇として何でもありのおかしさが際立つ。その意味では、宮下順子と江角英明のいささか退屈なからみよりも、芸者役の絵沢萠子が後輩の芹明香をしごき、女性器を鍛えるおかしな訓練をさせたり、別の芸者の丘奈保美が幼馴染の軍人、粟津號との短い逢瀬を楽しんだりする場面が抜群だ。「いや、いや」と尻を振る丘。

2つの移動撮影が際立つ。一つは人力車に覆いをかけてその中で愛を交わす宮下と江角を、別の人力車で絵沢が追いかけて文句を言うシーン。二つの人力車が抜きつ抜かれつ走る。もう一つは軍隊へと走る粟津を丘が追いかけるシーン。「帝国軍人が芸者とマラソンとは何事か」と憲兵に怒られる。

そして映画は唐突に終わる。ポルノで低予算で時代物という拘束の中で、逆に思いつきで自由自在に撮ったような、時代の産物としかいいようのない怪作に違いない。

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