« キッカワレイカとは? | トップページ | それでも必見の映画 »

2012年6月19日 (火)

ハバナの空気に酔う

昔から、オムニバス映画はおもしろくない。監督にとっては注文仕事だから気を抜く場合が多いし、それぞれ勝手に作るから全体のトーンも統一されない。8月4日に公開される新作オムニバス映画『セブン・デイズ・イン・ハバナ』もそんな1本だが、別の魅力がある。

それは、ハバナという赤茶けた街の空気だ。かつては栄えたであろうが、その後何十年も改築をしておらず、ボロボロになった建物の間を気持ちよさそうな海風が吹く。貧しいのに底抜けに明るい人々。

映画は月曜から日曜までの7日間=「セブン・デイズ」をそれぞれの監督が描いたものだ。映像として際立っているのは、「木曜日」のエリア・スレイマンと「日曜日」のロラン・カンテ。スレイマンはハバナの街で立ちすくむ自分の姿をほとんど左右対称の画面で写す。スレイマンは正面からハバナの細部を「見る」だけ。

ロラン・カンテは、女司祭の老女が開くパーティーの様子を、ドキュメンタリーのように追いかける。わざわざ家の中を改築し、泉まで作り、巨大なお菓子を注文し、「アベ・マリア」を歌う。たわいない話なのに、妙にしんみりとしてしまう。

エミール・クストリツァが出演するパブロ・トラペロ監督の「火曜日」も悪くない。ハバナ映画祭に出席するためにやってきたクストリツァは、映画祭に失望してディナーをキャンセルする。そこで出会うのが運転手のトランペット演奏。明け方に運転手と海を見つめるシーンがたまらない。

「水曜日」はセシリアという歌手が、スペインから来た興行師(ダニエル・ブリュール!)と地元の野球選手の恋人との間を行きつ戻りつする話。このセシリアは、「土曜日」のお菓子作りをする中年夫婦の娘であり、中年夫婦が必死で作るお菓子は「日曜日」の女司祭のパーティのためのものだ。7話のうち、3つが少しだけつながっているのもよかった。

映画の全体に流れる空気に酔った。急にハバナに行きたくなった。

|

« キッカワレイカとは? | トップページ | それでも必見の映画 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/55000583

この記事へのトラックバック一覧です: ハバナの空気に酔う:

« キッカワレイカとは? | トップページ | それでも必見の映画 »