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2012年6月24日 (日)

陰りゆく「フランス映画祭」:(2)メルヴィル・プポー特集

「フランス映画祭」の一環としてメルヴィル・プポー特集がユーロスペースと日仏学院で開かれているので、ラウル・ルイス監督の未公開作『犯罪の系譜』(96)を見に行った。秋に『ミステリーズ・オブ・リスボン』が公開されるラウル・ルイスをこの機会に見ておきたいと思ったからだ。

この映画には、カトリーヌ・ドヌーヴやミシェル・ピコリといった豪華な俳優陣が揃っているが、ラウル・ルイスらしい謎の構造は変わっていない。最初に中国の史実のナレーションがあったかと思うと、ドヌーヴの語りで、自分の息子の死後、犯罪者ルネの弁護人を務めることになったと言う。

ルネを演じるのがメルヴィル・プポー。ドヌーヴ演じるソランジュ弁護士は、ルネが殺した叔母のジャンヌが、実は怪しげな流派の精神科医だったことを突き止める。その流派の元締めがミシェル・ピコリ演じる精神科医で、ソランジュを自由に操ろうとする。ソランジュはジャンヌに会う場面を夢想し、次第にルネを息子と思いながらも愛し始める。

場面はほとんど室内で、鏡やマジック・ミラーの中をカメラは優雅に動き回る。次第にどれが現実で夢かわからなくなる。ルイス得意の、絵画を再現した活人画も出てくる。そして突然の皆殺しのシーン。

一見シャブロルなどに近い、わざと気の抜けた感じのフレンチ・ミステリー仕立てだが、現実と夢、話の話、絵の中の世界と現実などが混ざり合う展開は、ラウル・ルイスならでは。よくわからないけれど、不思議な見ごたえのある映画だった。

ところで「フランス映画祭」は東京に移ってからは、ユーロスペースと日仏学院でジャック・ドゥミやクロード・シャブロルなどの監督特集があった。今回はメルヴィル・プポーという男優の特集。作家性の強い監督との仕事が多いから選んだのだろうが、ここにも「フランス映画祭」の迷走ぶりが見える。

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