変わりゆく博多
週末に学会があって、久しぶりに博多に行った。福岡の南部に実家があるので、普段は博多のホテルに泊まることはないが、今回は飲みに行ったり、翌朝の会議などを考えて泊まることにした。
かつては西鉄大牟田線福岡駅を出ると、正面に岩田屋があったが、そこは何とパルコになっている。その左側の新天町は昔ながらの屋根のある商店街(パッサージュ!)だが、何だか裏寂れている。その分、元気なのがその外の「天神西通り」あたり。昔は電電公社やNHKがむやみに大きな場所を占めていたが、そこに岩田屋やブランドの路面店が並ぶ。
ルイ・ヴィトン、グッチ、コーチなどの路面店が左右前後にあり、銀座と同じくらい大きなバーニーズ・ニューヨークやアップルストアがあると、とても地方都市とは思えない。東京の銀座や六本木や表参道などの有名店が「いいとこ取り」のように、狭いところにびっしり詰まっている。
何十年ぶりかに会う友人が予約して連れて行ったのは、おいしいと評判のイタリア料理「オステリア・インクローチ」。行ってみると満員だった。フランス産の旬の白アスパラがあったり、数種の生ハムの盛り合わせがあったり。パスタ料理はソースを選んだ後に、生パスタ2種類を含む数種のパスタから自由に選べる。
どれも一定のレべル以上だったが、どこか日本の若い女性向けのわかりやすい味付けがなされているような気がした。このあたりが博多のレベルかもと考えた。ブランド品は買えばいいが、本格イタリア料理店には、それを享受するある程度の層が必要だ。そう友人に告げると「ASO福岡店」なら喜んでもらえたかも、と言った。代官山のASOがおいしいとはとても思えないが、それは言うのを止めた。
それでも博多は住みやすそうだ。少なくとも道行く人々の表情に、東京の何倍も笑顔がある。
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