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2012年6月 3日 (日)

憂鬱な読書:『ネットと愛国』

読みながら、本当に憂鬱になった。安田浩一著『ネットと愛国』は、いくつかの書評で読んで、数日前の朝日の論壇時評で高橋源一郎も取り上げていたので買った。副題は「在特会の“闇”を追いかけて」。

私はネット右翼のことは知っていたが、「在特会」なるものを知らなかった。正式には「在日特権を許さない市民の会」で、1万人も会員がいるという。

この本はこの在特会の実情に迫ったリポートだが、その活動というのがすさまじい。大阪の鶴橋のようなコリアンタウンや朝鮮学校などに出かけていって、拡声マイクで罵詈雑言を浴びせる。「ゴキブリ朝鮮人を日本から叩き出せ」「シナ人を東京湾に叩き込め」「おい、コラ、そこの不逞朝鮮人、日本から出てゆけ」。ヨーロッパのネオナチどころではない。

著者はその中心人物たちに会いに行く。会ってみると、多くは礼儀正しい普通の若者たちだ。彼らの「右ブレ」は最近のことで、日韓ワールドカップの時の韓国人の応援態度と、北朝鮮拉致事件の判明が主なきっかけだ。

「在日特権」とは在特会によれば、在日韓国人に認められている特別永住資格や通名使用、生活保護、朝鮮学校への補助金などを指す。いずれも歴史的経緯の中で生まれたものだが、彼らは執拗に叩く。その延長線上でパチンコ店や韓流番組を流すフジテレビを攻撃する。完全な排外思想だ。

著者は、在特会の行動を「うまくいかない人たち」による「守られている側への攻撃」という。そしてそれは大阪の橋下人気とつながるという。労働の流動化が「所属」を持たない若者を増やす。そして「日本人」という所属を見つけて、盛り上がり、外国人を排斥する。

先日のフランス大統領選挙では、ル・ペン(の娘)率いる極右政党が20%近く取ったことが話題になった。日本では幸いにして排外主義はまだ政党になっていないが、今後はわからないとこの本を読んで思った。

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