京橋で展覧会2本
今週から大学は夏休みだが、根っからの貧乏性で、何もしていないと落ち着かない。というわけで、京橋の展覧会を2本見た。1つはブリヂストン美術館の「ドビュッシー、音楽と美術」展で、もう1つはフィルムセンターで「ロードショーとスクリーン」展。
「ドビュッシー」展には驚いた。ここは西洋美術の所蔵が国立西洋美術館並みに豊かな割には会場が狭いので、普段は常設展が中心だ。今回も常設を中心にしたミニ企画展かと思っていたら、オルセー美術館を始めとして欧米各地から150余点を集めた、手間をかけた企画展だった。
最初の部屋でロセッティやバーン=ジョーンズが出てきて驚いた。先日ここにバーン=ジョーンズ展を見てラファエロ前派と同時代のフランス印象派の関係がわからないと書いたが、この展覧会を見るとよくわかる。モーリス・ドニの横に並べてみると、その装飾性や象徴性が似ていることが明らかだ。
展覧会はドビュッシーの世紀末の画家たちとの交流や、アール・ヌーヴォー及びジャポニスムとの関係を描く。ドビュッシーも日本贔屓で、浮世絵を所有していたとは知らなかった。そのほか、「古代への回帰」や「ペレアスとメリザンド」など、ドビュッシーが曲を作ったテーマの絵が並ぶ。アンリ・ルロールやアドルフ・ド・メイヤーなどあまり日本で知られていない画家もオルセーから出品されていておもしろかった。
クロード・モネがベリールという海岸を描いた、この美術館とオルセーの持つ2点が並んでいたりするのも贅沢だ。「持てる美術館」は強い。今年はとりわけ「〇〇美術館展」が多いが、このように所蔵品を持っていれば、世界各地の美術館と貸し借りができるのだと思う。10月14日まで。
その後にフィルムセンターで見た「ロードショーとスクリーン」展は、ひたすら懐かしかった。70年代から80年代の映画ポスター、つまり『燃えよドラゴン』とか『エクソシスト』、『エマニエル夫人』『地獄の黙示録』などが並んでいたからだ。自分が中学生の頃に映画に目覚めるきっかけとなった映画ばかりだ。会場の外の予告編集を見ていたらあっという間に時間がたってしまい、約束に遅れそうになった。こちらはこの29日で終了。
私の映画好きは、70年代のスペクタクル、エロ、ゲテモノ映画から始まったことを悟った。
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