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2012年7月11日 (水)

『独立国家の作り方』と言われても

最近話題になっている坂口恭平の新書『独立国家の作り方』を読んだ。日本の中に本当に独立国家を作ったのかと期待して読んだが、単に個人的に宣言しただけであった。しかしその生き方はちょっとおかしい。

早大の建築学科を卒業して就職せず、卒論を『0円ハウス』という写真集にして、それからは執筆や講演、海外では現代美術家として活動する。現在34歳で熊本に暮らし、結婚して子供もいて、年収は1000万円という。

彼は土地の所有とは何か、なぜ家はこんなに高いのか、お金がないと暮らせないのかなどを問いかける活動をしながら、お金を稼ぎ、賃貸マンションに暮らす。独立国家なんてどこにもない。まあ、極めて要領のいい現代風のインテリである。声高な反体制ではなく、みんなの常識に疑問符を呈し、「へぇーっ」と思わせて金を稼ぐ。

こんな人がいてもいいと思うけど、マスコミはホメすぎだ。どの新聞も大きなインタビューを載せている。何をしているかわからないがちゃんと暮らしている人は昔からいる。彼の場合は、資本主義を否定しているように見えて、実はちゃっかり利用しているところがちょっと気にさわる。

私自身は普通の資本主義の中で生きのびながら、より楽しい暮らしをめざしてきたし、とりあえずこのままで十分だ。大半の大人はそうだろう。だけど職も家もコネも何もない若者は、この本を読んだら憧れるだろうなと思うと、心配になる。彼のような生き方は、会社に勤めるよりも何倍も頭が良くないとできないことだから。

本の帯にある「現政府に文句があるなら、勝手に独立国家をつくっちゃえばいい!それはゼロから自分の『生』を作り上げることだ」などという惹起が、実は甘い罠である。


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