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2012年7月 2日 (月)

高松:塩田千春の衝撃

この週末は四国の高松に行った。空いた時間に、いくつかの美術館を訪ねた。最初に行ったのは、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館。丸亀市出身の猪熊の作品を多数所蔵する美術館だが、現代美術の企画展でも有名だ。実はこれまで行ったことがなかった。

高松駅からJRの快速で、わずか30分たらず。そのうえ、美術館は駅前にあった。写真で見た、空を切り取ったような外観から、なぜか森の中にあると勝手に想像していたが。

見たのは、昨日まで開催の「塩田千春展」。ドイツ在住のこの作家は、2001年の横浜トリエンナーレで衝撃を受けて以来、可能な限り見ている。いつも見ごたえのある大型のインスタレーションを見せてくれる。

今回もその期待は裏切られなかった。1階の《不在との対話》は、高い天井から無数の赤い管が絡まりながら、床まで広がっている作品。床のあたりには、献血のような装置がいくつかの管につながっている。よく見ると、赤い管は、透明の管に赤い液体が「ドク、ドク」と間欠的に流れ込んでいるものだった。

身体がなく、血管だけが白い布の上を巡る。医療への風刺のようにも、虐殺の風景のようにも見えて、小さな戦慄を味わう。

3階の《私たちの行方》は、黒い幕を押し開けて入る。薄暗い中に天井から雨のようなものが降り、床には2隻の古びた木の舟が置かれている。よく見ると、水は7か所のシャワーの口のようなものから降っている。それぞれの水は、時には止み、時には強くなる。まるで人類の時間すべてを表わしたような展示に打ちひしがれて、しばらく椅子に座り込んでしまった。

次の部屋の《集積―目的地を求めて》は、古いスーツケースを無数に積み重ねただけの作品。今どきのキャリーのついていない、昔ながらの革製だ。いくつか残る名札を見ると、「Hoffmann」などユダヤ系の名前があった。ひょっとしてアウシュビッツをあらわしているのか。しかしその象徴性は、手前の作品の衝撃に比べたら弱い。

2階は常設で猪熊弦一郎の作品が並んでいた。谷口吉生の建築による建物だが、何とも居心地がよい。四国の丸亀市でこんな最先端の現代美術のインスタレーションが見られるとは、日本も捨てたものではない。

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