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2012年7月19日 (木)

『トガニ 幼き瞳の告発』に生唾を飲み込む

ごくたまに、見ながら唖然として生唾を飲み込む映画がある。8月4日公開の韓国映画『トガニ』がそうだった。舞台はソウル郊外の聴覚生涯者学校。そこにソウルから新任の美術教師イノがやって来た。

コン・ユ演じるイノ教師は着任と同時に賄賂を求められ、すぐにその学校が異様なことを悟る。それから彼は、無抵抗の生徒たちに対して校長や教師が性的暴力を振っていることを、少しずつ発見してゆく。

カメラは静かに事実を「見る」イノに寄り添い、とんでもない事件を映してゆく。女性寮長に洗濯機に顔を突っ込まれていた少女を救い出して、人権センターの知り合いと病院で少女の話しを聞くイノは、さらに驚愕の事実を知る。警察は学校に賄賂をつかまされて動かないため、イノたちはテレビに訴えた。

テレビの大きな反響で校長たちは逮捕されるが、裁判となると容易ではない。その証言のたびに、事件の細部が映像で「再現」され、愕然とする。

そうして裁判の判決が出て、その後にもう一つ事件があって、さらに裁判所前のデモの映像を見た時には疲れてしまった。最後の最後まで、これでもかというくらい、とんでもないシーンが続く。映画としては、後半は少し「再現」を抑えて、裁判劇として静かに展開した方が良かったのではないかと思う。韓国映画ならではのコテコテ演出だ。

それでも、これだけの事実を「見せる」ことには意義があったと思う。現に韓国では、この映画のヒットによって法律が改正され、事件の再審査が行われたというのだから。観客が主人公のイノと共に隠された真実を「見る」ことに絞った演出は、間違っていない。

自分も教師になったせいか、この映画は他人事ではない。無抵抗な相手に対して、権力を持つ人間は時として常識を超えた行為に及ぶ。この映画のようなことはなくても、学生のみならず、助手や職員に対しても無理難題を言う大学教師は多い。衝撃度で言えば、今年ナンバーワンの映画だった。

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