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2012年7月18日 (水)

何でもありの韓国映画

最近、日本に来る韓国映画で、見て損をしたというのはまずない。もちろん『ポエトリー』や『息もできない』のように作家性の強いものもあるが、多いのは「韓国ノワール」とでも呼ぶべき闇社会アクションもので、だいたい見ていて飽きない。今回見たのは、9月8日公開の『凍える牙』。

乃南アサの原作で、主演はソン・ガンホがダメな刑事役で、新人美人刑事(イ・ナヨン)とコンビを組むというだけで、何となく期待してしまう。実際見てみると、このダメな二人が独自の捜査をしながら、最後に手柄をたてるという、刑事ものの常道を行くものだった。

ところが途中の展開はいささかびっくり。連続殺人事件の犯人が実は犬で、調べるとそれは犬と狼の交配種らしい。犬狼が人間ののどに噛みついて血がほとばしるという、まるで吸血鬼映画のような展開に。殺人犬狼を操る人間を探すうちに、娘の復讐を企てる元刑事や建設会社の社長が浮かび上がる。

終盤、孤独な犬狼と美人刑事がシンパシーを感じあい、何となく動物愛もののようになってゆく展開にも驚いた。ラストは一応事件が解決するが、盛りだくさんで何でもありな感じの刑事ものだった。

それでも2時間近くもたせるのは、ソン・ガンホの安定感と、ジャンル映画としての韓国ノワールの蓄積だろう。ソン・ガンホを取り巻く刑事の面々も、いかにもそれらしい顔が揃っている。今の日本映画にこうしたジャンル映画的蓄積はない。

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