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2012年8月21日 (火)

奈良美智の「深み」

横浜美術館で開催中の「奈良美智展」を見に行った。朝日新聞に「奈良美智個展、深み増す」という見出しの記事があって、「本当か」と思ったからだ。奈良美智といえば、おでこの広い女の子がにらんだような絵が、90年代から人気があった。

それは私には社会に違和感を感じる子供の強い反抗のように見えて、妙におもしろかった。プラスチックで作るつるつるの動物も良かった。その後、2000年代半ばから部屋の形のインスタレーションが増えて、これも現実社会との齟齬感がおもしろかった。

ところが今回の個展を見て驚いた。まず最初にどでかいブロンズの彫刻がいくつもある。「ドーダ」という感じで気持ちが悪い。いかにも「芸術」らしい居直りは何だ。

それから大きな絵。色のグラデーションが微妙に加わって、これまた「芸術」みたいだ。あるいはキャンバスに手を加えたり。

「深み増す」というのはその通りだが、この作家の場合、どうも悪い方に行ったようだ。それまでの、感性だけを頼りにした、ツルツルのフラットだけど痛みを感じさせる絵が、どこにでもある「芸術」に近づいている。その芸術的技術の習得ぶりは、奈良の本来の強さと相いれないもののように思えた。

その意味で、常設展はおもしろかった。「人の顔」をテーマにしたものだが、横浜美術館が所有するセザンヌやピカソやベーコンの横に、かつての奈良の作品が並んでいる。その不器用な絵は、巨匠たちの絵と並んでも妙に張り合っていた。

奈良展は、9月23日まで。その後青森や熊本に巡回。横浜で見るときは、ぜひ常設展も見た方がいい。

朝日といえば、今日の朝刊の真ん中ほどのページの下の方に、私の名前と顔写真が載った小さな記事があった。悪いことをしたわけではないが、ほとんどそういう気分になった。

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