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2012年8月22日 (水)

ウディ・アレンの「人間喜劇」は続く

最近、ウディ・アレンは現代のバルザックではないかと思うようになった。つまり永遠に続く「人間喜劇」。彼の場合は、舞台は世界規模だが、登場するのは欧米の都会の「それなりに」裕福で知的な人々だ。今回見たのは12月1日公開の『恋のロンドン狂騒曲』。

これは2010年の作品で、『人生万歳!』(09)と『ミッドナイト・イン・パリ』(11)の間の作品。08年の『それでも恋するバルセロナ』あたりから、内容も俳優も俄然メジャー感が増してきた感じのウディ・アレンだが、今回は一見、「一回休み」に見えるかもしれない。

つまり、『それでも恋するバルセロナ』のスペイン風の狂乱の恋も、『人生万歳!』の徹底的なバカバカしさも、『ミッドナイト・イン・パリ』のゴージャスな夢物語もない。あるのは、「恋愛」を諦めきれない普通の人々のよくある話だ。

今回の舞台はロンドン。若さを取り戻したい夫と占いにハマった妻の老夫婦に、その娘で上司を好きになる女とその夫で「向かいの窓」の若い女に憧れる作家の4人が主人公。それぞれが好きな相手を作り、8人で大騒ぎというもの。どの恋もパッとしなかったり、ちょっとヘンだったりする。「やめておけばいいのに」と居心地の悪い思いをしながら見てゆくと、だんだんその悪趣味が楽しくなってくる。

「普通の人々」といっても俳優は豪華。父親役がアンソニー・ホプキンス、その娘がナオミ・ワッツ、彼女が好きになる上司がアントニオ・バンデラス。彼女の夫が好きになる若い女性は、『スラムドッグ$ミリオネア』で印象的なフリーダ・ピント。

映画は、最初から意地悪そうなナレーションと共に始まる。カメラはシーンの中をくるくる回り、無駄なく説明してゆく。かと思うとシーンは変わって、別の主人公の物語が始まる。目まぐるしいような展開で、ありえない恋物語があちこちで進行する。

そうして見終わると、妙に納得して「人間はこんなもんだよなあ」とつぶやきたくなる。そしてウディ・アレンの話術に乗せられてしまった自分に気づく。

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