« オリンピックのメダル数を考える | トップページ | 真夏に効く白磁と禅画 »

2012年8月14日 (火)

感動した、楽しんだ、でもクドイ韓国映画『高地戦』

映画にはどうしても国民性というか、作られた国の状況や精神性が出てしまうものだが、現在の韓国映画ほどそれが顕著な映画はないだろう。どの映画も韓国でしかありえないカラーに満ちている。10月27日公開の『高地戦』もそうだった。つまり、感動した、楽しんだ、でもクドイ。

映画は朝鮮戦争末期、境界線の高地を北朝鮮軍と奪い合う韓国軍の一隊を描く。日本映画では長らく見ないような、山中に作られた広大なオープンセットで、銃撃戦がこれでもかと展開する。同じ陣地を奪ったり、奪われたりが続き、両軍の兵士がバタバタと死んでゆく。

主演のシン・ハギュン(市川雷蔵を思い出した)といい、3年後に再会する友人役のコ・ス(川口浩に似た好青年)といい、出てくる俳優たちがみなそれぞれの過去を背負った深みのある演技をし、個性を際立たせる。

北朝鮮軍との郵便や食べ物のやりとりはいささか現実味がないが、映画をなごませる。あるいは北朝鮮軍の機関銃の名手は女性で、実は韓国軍のある兵士の妹という設定もわざとらしいが、エンタメとしてよくできている。

ようやく停戦協定が成立し、映画は終わるかと思ったが、何と12時間後の時点での戦線が南北の境界線となるとの発表。それからあと30分近く戦闘が続く。もともと同じ人種同士の戦いに、米国や中国が介入してなかなか収まりがつかなくなる虚しい戦争なのに、さらに12時間と聞いた時の兵士の、そして観客の徒労感。

この30分はクドイ気もするが、戦争の虚しさを伝えるうえでは必要な時間なのだろう。最後に、山の上に広がる両軍の死体の山が無限に続くのを見た時、そう思った。

考えてみたら、戦後の日本の経済復興は朝鮮戦争の特需のおかげと言われている。この虚しい戦争の結果の繁栄というのは、それこそ虚しい。

|

« オリンピックのメダル数を考える | トップページ | 真夏に効く白磁と禅画 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/55419413

この記事へのトラックバック一覧です: 感動した、楽しんだ、でもクドイ韓国映画『高地戦』:

« オリンピックのメダル数を考える | トップページ | 真夏に効く白磁と禅画 »