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2012年8月18日 (土)

『おおかみこどもの雨と雪』が見せるアニメの新しい可能性

そもそもアニメを見ていない。だから無理して急に『エヴァンゲリオン』などを見に行ってもよくわからない。そんな私がアニメの新しい可能性を感じたのが、細田守監督『おおかみこどもの雨と雪』だった。

なぜ見に行ったかというと、WEBRONZAで西森路代氏が「現代女性の理想像を見せている」と書いていたからだ。確かにおとなしく芯の強い女性が、世間から隠れて田舎で1人で子供2人を育てている姿は、ある種の「理想」かもしれない。

それは見ていて心地よかったが、私が驚いたのは実写にない映像表現がいくつもあったからだ。この映画は主人公が恋人(実はおおかみ)と出会って、子供を2人作り、恋人が亡くなった後も長女の雪が中学に入るまでを描く。つまりおよそ13年間の時間が2時間弱で描かれるのだが、母も子供も本当に少しずつ年をとってゆくのがよくわかる。

実写は毎分ごとに少し老いさせることはできないが、アニメなら可能だ。1年生から4年生までを、教室を見せながらワンカットで4年間が過ぎるなんて優雅な表現は、アニメしかできない。

人間の顔や体はむしろ単純化され、平面的なのに比べて、自然のリアルなことといったら。雨や川や野の花などがときおり実写も交えながら、劇的に表現される。そのなかで主人公たちの2次元の世界が奥深く見えてくる。

一瞬、真っ暗になるシーンが2、3回あった。実写映画ならよくあることだが、アニメでは見たことがない(それほど見ていないので)。

そんな工夫の結果か、おおかみと子供を作るというとんでもないファンタジーなのに、どこにでもある母と子の物語のようにリアルに思えてくる。子供たちの成長がいとおしく思えて仕方がなかった。細田守のアニメが例えばジブリとどう違うのか私にはうまく言えないが、少なくとも表現方法は新しく見えた。

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コメント

最近、それ程ハマったアニメ作品はなく、エヴァンゲリオンも観ていませんが、この作品を観て感じたのは、設定は突飛ですが、身近な内容として観ることができる作品だという事。お互いの違いを受け入れる。子育ての不安、とまどい。自我の目覚めにより起こる葛藤。私自身、出産、子育てを経験していませんが、自分の親や子供の頃の様々な出来事が思い出され、物語の世界に入り込めました。アニメ作品を観て、この様な気持ちになったのは初めてです。

投稿: sona | 2012年8月18日 (土) 11時49分

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※小説「おおかみこどもの雨と雪」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。 久しぶりとなる映画のレビュー。 昨日「おおかみこどもの雨と雪」(監督:細田守)を観に行ってきました。 ------- ストーリー ------- 人間の姿で暮らす“おおかみおとこ”に恋をした大学生...... [続きを読む]

受信: 2012年8月18日 (土) 13時39分

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