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2012年9月21日 (金)

またフランス映画の傑作を見た

最近のフランス映画はダメですね、というのが私の口癖だが、そうではなくなってきた気がする。現在上映中の『わたしたちの宣戦布告』や共に12月15日に公開の『最初の人間』と『マリー・アントワネットに別れをつげて』に続き、今回見た12月公開の『愛について、ある土曜日の面会室』を見てそう思った。

冒頭の、刑務所の前で女性が突然騒ぎ出すシーンから強烈だ。それから映画は3つの話をバラバラに見せてゆく。一つはサッカー好きの女の子の話で、バスの中で知り合った恋人が刑務所に行ってしまう。2つめは、アルジェリア出身で、息子が殺されてその犯人が刑務所にいる中年女の話。もう1つは金がないせいで妻とも喧嘩が絶えない男が、囚人の身代わりになる話。

最初はその複雑な構成についていけないかと思ったが、それぞれの登場人物たちのまっすぐな感情のほとばしりに押されて、画面から目が離せなくなった。

出てくるのはすべて、超がつくくらい金がないか、あるいは不幸な人々ばかりだ。そして彼らの叫びを、カメラはある時は手持ちのアップで、ある時はロングの長回しで捉えてゆく。刑務所の面会室にいる多種多様な人々とそのゴタゴタを、まるで溝口健二ばりの10メートルを超す移動撮影で捉えた映画なんて、これまでにあっただろうか。一人一人の顔と声が鮮烈に刻まれたショットだ。

そして終盤、3つの話が交錯する。それからのサスペンスと衝動の盛り上がりといったら。ラストの冬の風景を見ながら、「ふう」とため息をついてしまった。監督はレア・フェネールという女性。これが28歳の初長編映画とはとても信じられない。

アルジェリア女性ゾラ役のファリダ・ラウアッジ(最近は『ジョルダーニ家の人々』で見た)を始めとして、キャストも秀逸。個人的にはヴィターリー・カネフスキーの『動くな、死ね、甦れ!』の女の子役だったディナーラ・ドルカーロフの成人した姿が何とも懐かしかった。

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