4000年は無理がある
またまた「〇〇美術館展」を見た。東京都美術館の「メトロポリタン美術館展」で、副題は「大地、海、空―4000年の美への旅」。前に国立西洋美術館で開かれていた「ベルリン国立美術館展」は「学べるヨーロッパ美術の400年」だったが、今度はその十倍だ。
正直、400年でも相当無理があった。15世紀から19世紀まで駆け足で見せられて、つかみどころがなかった。ところが今度は4000年。メソポタミアから現代美術まで、テーマごとに時代を無視して並べてある。
例えば、第2章「自然のなかの人々」では、紀元前5世紀のギリシャ彫刻の次に16世紀オランダのガラスや同時期の聖書の写本が並ぶ。そしてティントレット、ブーシェ、ゴーガン。気まぐれに並べました、という感じが強い。そのうえ、やブーシェは小さすぎるし、ティントレットも彼らしい作品ではない。
もちろん、秀作もある。2点のゴッホやルノワール、あるいは1点のターナー、セザンヌなど。まるで雑多な中の宝探しみたいだ。でも物足りない。
ニューヨークのメトロポリタンには23年前に一度だけ行った。広大な建物に、恐竜から現代美術まで時代ごとに区分されていた。私は時間がなくて19世紀だけを見た記憶がある。それを今回はテーマで横断したというところだが、4000年は無理がある。その選択に学芸員のスノビズムが感じられて、いやな気分になった。
最近、ベネチアに毎年行っているせいか、イタリアの18世紀のカナレットとイギリスの19世紀のターナーが描いた2つの絵が気になった。ともにサンマルコ広場の向こう側にあるサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂を描いている。100年でこんなに違うとは。同じテーマ別でも、「世界の画家たちが描いたベネチア」のようにもっと絞っていればおもしろいのに。それは「〇〇美術館展」ではできないだろうけど。
来年の1月4日まで開催。
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