シャルダン初個展の意味
ジャン=シメオン・シャルダンの日本での初めての大きな個展を、丸の内の三菱一号館美術館で見た。シャルダンという画家は、フランスの18世紀の巨匠の一人として名前は出てくるが、どんな画家かよくわかっていなかった。
18世紀フランスと言えば、マリー・アントワネットであり、ロココだ。ヴァトーからブーシェを経て、フラゴナールへ。そんな華やかなイメージの中で、シャルダンの絵はちょっと違う。
チラシやポスターに使われている木いちごの静物画の写真を見て、急に見たくなった。こんなセザンヌみたいに事物の本質に迫る絵が、18世紀にあるのかと。
まずは地味で暗い静物画と、ちょっとカリカチュアのような風俗画が並ぶ。そこに展開される光と影のドラマは、17世紀のオランダ絵画のようだ。
しかし圧巻は後半の果物を描いた10点ほどの静物画。桃やぶどうやリンゴが、銀のゴブレットやワインを半分次いだコップなどと共にテーブルに置いてあるだけだが、その絶妙な構図のバランス、果物の質感をあらわすタッチ、果物が背景と溶け合うような色彩感覚、そうして全体を支配する静かな光のドラマ。
100年と少し後のセザンヌが、ほんのそこまで来ているようだ。
出品作品は38点と多くはない。しかし、ルーヴル美術館を始めとして、ワシントン・ナショナル・ギャラリー、フィレンツェのウフィッツィ美術館など、世界中から必要な作品が集まっている。最近特に増えた「〇〇美術館展」とは対極の、一点、一点を集めた学芸員の力業である。来年の1月6日まで開催。必見。
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