« それでも東京国際映画祭を見捨てない:その(9) | トップページ | 憂鬱な読書『戦後史の正体』 »

2012年10月29日 (月)

それでも東京国際映画祭を見捨てない:その(10)

ずいぶん久しぶりにクロージング・セレモニーに参加した。その前は、ヴェンダースの 『夢の涯てまでも』がクロージングで上映された時だから、1991年のことだ。山形国際ドキュメンタリー映画祭の審査員長として来日したジャン・ドゥーシェ氏を連れて行った。

上映後のロビーで、今は亡きエドワード・ヤン監督と話していたら、蓮實重彦氏がやってきたので、ドゥーシェ氏を紹介した。そのまま「ドゥーマゴ」で夕食を共にしたのを思い出す。日仏を代表する評論家2人が、小津や溝口について勢い込んで語っていた。

さて、セレモニーが苦手な私が今回参加したのは、WEBRONZAで東京国際映画祭を批判する連載を書いているから。土曜日に4回目を書いて、あと1回書く予定なので、授賞式は自分の目で見ておきたいと思った。

一言で言うと、出てよかった。賞をもらった監督や俳優が素直に喜ぶのを見ていると、関係のない私までも嬉しくなる。評判の悪い東京国際映画祭でも、役に立つのだと思った。受賞結果については、私が今回見たのは全部で16本でうちコンペは6本なので、何とも言えない。ただ、韓国の『未熟な犯罪者』は賞を2つももらうような映画とはとても思えなかった。個人的には、『ハンナ・アーレント』や『フラッシュバック・メモリーズ』の方がずっと良かった。

授賞式の一番のサプライズは、依田チェアマンの後任の発表だった。彼がセレモニーの終わりの挨拶を始めると、この5年間の総括を始めたので、やはりこれでおしまいかと思ったら、最後に「私の後任は角川書店の椎名保さんです」と発表してしまった。椎名氏とは面識がないが、個人的な印象では依田さんに比べると、ずいぶん内向きな感じだがどうだろうか。

依田氏と椎名氏はあまり年齢の差がないのかと思っていたら、ネットで調べると、依田氏は72歳、椎名氏は61歳だった。椎名氏はもっと上かと思っていた。彼はもともと住友商事の出身だ。依田氏は音楽業界、その前の角川歴彦氏は出版だから、映画界以外からが続くことになる。

授賞式の後にイーストウッド主演の『人生の特等席』が上映された。イーストウッドの製作を担当していたロバート・ローレンツの監督だが、イーストウッドの演出に比べると、サスペンスが弱く、全体に甘めだ。それでも頑固ジジイのイーストウッドが若者や娘に悪態をついたりする場面は、本当におかしかった。やはり見てよかった。

|

« それでも東京国際映画祭を見捨てない:その(9) | トップページ | 憂鬱な読書『戦後史の正体』 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/55995407

この記事へのトラックバック一覧です: それでも東京国際映画祭を見捨てない:その(10):

« それでも東京国際映画祭を見捨てない:その(9) | トップページ | 憂鬱な読書『戦後史の正体』 »