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2012年10月 5日 (金)

天井画まで持ってきていいのか

六本木の国立新美術館で始まったばかりの「リヒテンシュタイン」展を見て驚いた。始めの方の一室で、天井画が展示されていたからだ。天井画というのは、本来教会や宮殿などの天井に組み込まれた絵だ。

それを建物から遮二無二切り離して日本に持ってきて、真新しい国立新美術館に無理に展示用の天井を作り、嵌め込んであった。これをキッチュと言わずして何と言おうか。そのうえ、ルーベンスの4メートルを超す巨大な作品まで展示していた。

もともと私は外国の美術館から丸ごと持ってくる「〇〇美術館展」には大反対だし、そんな文章も書いた。今回の展覧会もそれに当たるが、天井画まで持ってきた展示を見ていると、展覧会というもの自体の意義を問いただしたくなった。

美術というのは、それを見るにふさわしい場所で見るのが一番だ。仏像は寺社で見るのが、博物館で見るより何倍もいい。リヒテンシュタインの所蔵品は、ウィーン郊外の「夏の離宮」で見れば、その有難味が伝わってくる。それをあのペカペカの国立新美術館で並べても、滑稽でしかない。

美術品を動かせば、必ず傷む。ましてや天井画や4メートルの絵画は、輸送は相当に大変なはずだ。動くべきは美術品ではなく、人間の方だ。それにふさわしい空間に見に行く方が、何倍もいい。「リヒテンシュッタイン」展の天井画や10点ものルーベンスを見ながら、そう思った。

この展覧会は12月23日まで。その後、高知、京都へ巡回。

そういえば、ウィーン郊外のリヒテンシュタイン美術館に行ったことがある。2005年の7月のことだ。入口には豪華な黄金の馬車が展示してあった。さすがにあれは持ってこなかったようだ。

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