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2012年10月11日 (木)

ホン・サンスは日本で受けないか

韓国のホン・サンス監督といえば、国際映画祭の常連だ。作る映画は毎回カンヌやベルリンに出るし、仏『カイエ・デュ・シネマ』誌の最新号(10月)では、何と表紙が彼の顔のデッサンで、約40ページにわたる巻頭特集が組まれている。これは今年のカンヌに出たイザベル・ユペール主演の新作公開にあわせたものだが、それにしても。

日本ではこの10年ほど韓国映画が大量に入ってきたが、ホン・サンスの映画は未公開も多い。今回は、最近の『よく知りもしないくせに』(09)『ハハハ』(10)『教授とわたし、そして映画』(10)『次の朝は他人』(11)の4本を11月10日から一挙に公開するという。

私自身、実はこれまで『アヴァンチュールはパリで』(09)を見ただけだった。パリの安ホテルで韓国の留学生たちがだらだらと過ごすさまを描いたもので、正直に言うと、どうでもいいと思った。

今回試写で見たのは『ハハハ』。題名からしてふざけている。始まると2人の青年の声。彼らの姿は白黒の写真で写るのみでやたらと「乾杯、乾杯」と声が響く。やはりふざけている。どうやら2人は南の港町トンヨン(統営)に別々に行ってきたらしく、それぞれのアヴァンチュールを語りだす。

そして映画はそれぞれの視点からの物語を見せてゆく。時おり挟み込まれる白黒の写真と「乾杯、乾杯」の声。1人は映画監督で教授で、カナダに行く前に母親に会いに行って、ある女に一目惚れをしてしまう。もう一人は映画評論家で、愛人とそこに来ている。

映画監督が好きになったのは、実は映画評論家の友人の恋人だということが観客にはわかってくるが、2人はそれを最後までわからないという設定で、3人の男と3人の女の間のゴタゴタをだらだらと描く。

いい加減な男たちに翻弄されながらも、自分の気持をきちんと伝える女たち。それに妙に色っぽさを捨てていない映画監督の母親まで交じって、切実ながらもユーモラスな会話劇が展開する。

最初はやはり私は苦手だと思ったが、最後まで見るとなかなかおもしろかった。登場人物の微妙な恋愛感情を、仕草や言葉でここまで繊細に演出できる監督はざらにいるものではない。よく比較されるエリック・ロメールとは違う、もっとアジア的なゆるい表現だ。ひょっとすると、日本でもこれから受けるかもしれない。

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