サイバラの『生きる悪知恵』に大笑い
最近、一番笑った本が、西原理恵子の新書『生きる悪知恵』。オビに「正直者よりウソつきになれ」と大きく書かれている。甘えた質問者を罵倒しながらも、妙にリアルで実は役に立つ答えを返すのがいい。
例えば妻が出産して太ったがどうしたらいいか、という質問には、「どうしても奥さんにやせてほしいんだったら、とにかく子育てを手伝ってください。それから、奥さんを外に働きに行かせてください。そうしたら経済的に余裕が出てくるし、外の目にも晒されて『やせなきゃ』」って思う。女の人を家の中に閉じ込めておくと間違いなく太ります」。なんと現実的で、一石二鳥の答えだろう。
「なかなか結婚してくれない彼を決断させるには」という31歳の歯科助手に対しては、「じゃあ、しなきゃいいじゃん」と始める。「全体的に『何とかしてオーラ』『養ってくれオーラ』が出ているように見えるんだよねえ。それは彼氏だって引きますよ」「夫婦は親友であり戦友でないと成り立たないと思うんだ。つまりフェアでないと。……言ってみれば結婚てフェアトレード」「どうしても彼と結婚したかったら、彼の持っている仕事力や人間力と自分の持っている力を同等にする努力をしようよ。要は売りどころを鍛える」
サイバラの考えは、高知出身の南国的マッチョに見えるが、実は現実的なフェミニズムなのだ。「仕事にやりがいは感じますが、給料が安く生活が厳しい」という32歳の看護師(男)に対しては、「同じような仕事の嫁を探せ」「お互いが支えれば『厳しい』が半分になるんですよ」
そして「本当は、こういう仕事をしている人にきちんと給料が払われる仕組みを国が作らなきゃいけないんだけど、そんなのアテにしてられないしね」。何と真っ当な、と思う。
大笑いしながらも妙に納得してしまう、オススメの本。正統的なフェミニズムからは非難されるかもしれないけど。
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