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2012年11月18日 (日)

『黄金を抱いて跳べ』の映画らしさ

「週刊文春」で小林信彦氏が絶賛していたので、井筒和幸監督の『黄金を抱いて跳べ』を見に行った。男性しか出ない映画を彼がホメることは稀なので、何かあるだろうと思ったからだ。結果はアタリ。

今どき珍しい骨太な犯罪劇だ。何せ、パソコンの操作でお金をかすめ取る時代に、銀行の地下にある2400億円の金塊を盗むというのだから。実際、金の延べ棒の山が出てきた時はゾクゾクした。

主人公は浅野忠信と妻夫木聡。この2人が銀行強盗に必要な人間を集めてくる。爆発物に強い韓国人(チャンミン)、エレベーター保守にくわしい爺さん(西田敏行)、コンピューター技師の桐谷健太、浅野の弟役の溝端淳平。

何より角刈りの浅野がいい。彼がこんなヤクザ役をできるとは思わなかった。複雑な過去を持つ妻夫木のクールな無表情もピッタリ。謎の老人役の西田もいい味をだしている。そして彼らのアンサンブルが、昔のハワード・ホークスの映画でも見るような、映画ならではの集団劇の醍醐味を生み出す。

見終わって、偶然に邦画大手の私と同世代のプロデューサーK氏と会った。「いやー、見せてくれますね、井筒さん」と言うと、「さすがですね。でも私は今日は2本目で、『アルゴ』を見たばかりだから、比べると無駄な要素が多すぎる気がして」。

確かに冒頭のチャンミンの北朝鮮にまつわる話や、妻夫木の少年時代の話、浅野の妻が殺される話など、本筋の運びと関係ない話が多い。しかしそのごった煮状態が井筒映画の魅力かもしれない。たこ焼きとかバッテラとか何でも口を出すおばさんとか、大阪ならではの匂いも濃厚だ。

丸の内ピカデリー。土曜夕方に広い劇場に100人ほど。意外と若い女性の2人組がいたのは、チャンミン目当てか、あるいは妻夫木か。

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