日本的情緒を求めて
『のぼうの城』が好調で、興収30億円超えの勢いらしい。震災で1年も公開が延びたうえ、水攻めのシーンを減らしたりした関係者を思うと、良かったと思う。同じくTBSとアスミック・エースが組んだ『大奥』第2弾の「~永遠~右衛門佐・綱吉篇」を見た。
12月22日公開のこちらも前作が23億円をあげていて、大ヒット候補だ。実は私は前作も見ていないし、原作の漫画も読んでいないせいか、あまりピンと来なかった。
『のぼうの城』と同じく時代劇で、城を中心とした広大な街並みをCGを使って何度も見せる。その回数が多いだけに、クリアーすぎてどこか作り物の風景に見える。寺社を使った内部の美術も、侍たちの派手な衣装もずいぶんがんばっているのだけれど、どこか「見せるだけ」という感じだ。クレーンを使った長回しは溝口健二もびっくりするほどなのに、盛り上がりにつながらない。
たぶんこれは何より「見せる」ことに力を注いだ映画なのだろう。男女逆転の大奥という奇想天外な時代劇の豪華な美術や衣装を、男たちに君臨する女の将軍を演じる菅野美穂の表情を、あるいは堺雅人を中心とするハンサムな若い侍たちを。脇役の西田敏行や柄本佑、宮藤官九郎などみんなカリカチュアのようだ。
なんとなく気分が収まらず、前日に見たドキュメンタリー映画『ニッポンの、みせものやさん』で出ていた見世物小屋を見に、ふらりと新宿花園神社の酉の市に出かけた。前夜祭だが、ものすごい人だ。テキ屋も気合が違う。ようやく見世物小屋を見つけて入った。
出し物は6つぐらいあって30分くらいかかるのだが、それがエンドレスに続く。中で少しずつ右に寄っていって、全部見たころに押し出される。お代は出口で800円払う。中身のハイライトは映画で見た通りだが、やはり中で自然と押される感覚は、入らないとわからない。外からは中の観客が少し見えるようになっていて、大夫さんたちも時折顔を出す。この内と外がつながった不思議な関係に、妙に日本的な情緒を感じた。「見せる」だけではない、本物の見世物だった。
それにしても一日に何度もヘビを食べたり、蠟を口に入れて火を噴いたりして、大夫さんたちは体は大丈夫なのだろうか。
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