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2012年11月22日 (木)

会田誠の不穏さとうまさと

六本木の森美術館で始まったばかりの「会田誠展」を見た。1965年生まれだから若手とは言えないが、この世代の日本の作家のこれほど大きな個展は珍しい。見終わって、もっと有名な村上隆や奈良美智よりずっといいと思った。

彼の作品のテーマは、ある意味えげつない。美少女とグロテスクを組み合わせ、「劣情」を煽る。多くの少女が容器の中でかき混ぜられている《ジューサー・ミキサー》なんてその典型だ。御巣鷹山の日本航空の墜落事故を描いた絵で、ヘリコプターに救助された少女の白いパンツを見せていたのも、この人だ。

あるいは《戦争画RETURNS》のように、戦争画をアニメ風にあっけらかんと描いてしまう。「私には常識がありません」といわんばかりだ。

そのうえ屏風を使ったり、日本画の手法をあちこちに用いる。まるで美術史を逆なでしているような感じだ。

それでもそれぞれの作品は細部を綿密に仕上げられていて、見るだけで楽しい。森美術館は展望台と共通チケットなので、いつもながら地方からの観光客やカップルなどもいたが、みんな面白がって見ていた。現代美術で普通の人々に受けるなんて、めったにないことだ。

全体に漂う非常識な感じと、細密画のような細かい技術、日本の現代そのものの要素を混じり込ませる通俗性、そんなものが一緒くたになって、不思議な魅力を作りだしている。つまり、不穏でうまい。

日本の現代美術の力を知るには、オススメの展覧会だ。個人的にはこういう悪趣味はあまり好きではないけれど。この展覧会は来年3月末まで。

ここまで書いたところで、シドニーに到着。明日以降、いろんな事情で毎日は更新できないかもしれない。

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