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2012年11月27日 (火)

相変わらずの「東京フィルメックス」:その(1)

オーストラリアに行っているうちに、東京フィルメックスが始まっていた。昔、少し手伝っていたこともあるので、帰国早々に出かけた。2本を見たが、「相変わらず」という印象か。

最初に見たのは、コンペの韓国映画『グレープ・キャンディ』。銀行に勤めるOLが同棲する男性は編集者で、もうじき結婚を考えている。未来の夫が新しく担当した女性作家は、中学生時代の友人だった。

少女時代の傷跡を引きずった2人の女性の再会を描いたもので、グレープ味のキャンディやリレーのバトンなどをシンボリックに使いながら過去と現在を行き来する語り口はうまい。撮影も編集も丁寧で女性監督らしく少女の心理を細やかに描いているが、何かそれ以上のものは伝わってこない。

アピチャッポン・ウィーラセタクンの新作『メコンホテル』は、わずか61分の作品だが、完全にやられてしまった。映画の神様が降りてきた、というか。監督がギター弾きと「1オクターブ低いね」などと語り合うシーンから映画は始まる。

ギターの音楽が続くなか、カメラはメコン川のほとりのテラスにいる若い男女トンとフォンを写す。初めて会ったはずなのに、妙に仲がいい。それから後は何でもありだ。女は内臓を食べている。それはフォンの母のジェンかもしれない。ジェンは部屋の中で男とテレビを見る。この2人も妙に仲がいい。ベッドに転がる肉片。

娘のお腹に食らいつき、あたりを伺いながら内臓を食べるジェン。男はなぜか女性の声で話す。「次は馬か虫に生まれ変わる。人間になるにはあとどれくらいかかるのか。次はフィリピンで男の子になる」

だんだん何が何だかわからなくなって、流れていくボートさえ、人間のように見えてくる。父母未生以前みたいな気分になって頭がくらくらしてきたあたりで、映画は終わった。昔はこの監督は苦手だったが、今回は乗せられてしまった。

それにしてもアプチャッポンは昔からこの映画祭の定番だ。『グレープ・キャンディ』の監督も前作がこの映画祭で上映されたらしい。やはり「相変わらず」の東京フィルメックスだ。

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