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2012年12月10日 (月)

「新聞の映画評」評:『007 スカイフォール』

実を言うと、「007」をスクリーンで見たことはなかった。だいたい地上波テレビか衛星放送で家族が見ているのを横から見ていた。今回の「007」はやたらに人が入っているというので、見に行くことにした。サム・メンデス監督だし。

2週目の日曜夕方、日劇1は観客でびっしり埋まっていた。あの千人近い席数の劇場が満員というのは初めて見たが、何とも気持ちがいい。

で、映画自体はどうだったかと言うと、私はがっかりした。最初のタイトルが出る前のイスタンブールのアクションは良かったが、その後は007は何となく情けないし、美女とのからみもテキトーだし、M役のジュディ・デンチがどこか嫌な感じで、乗れなかった。いくつかのアクションシーンは迫力満点だったし、長崎の軍艦島やマカオなどを使ったロケも素晴らしかったのだが。

確か新聞で絶賛していたはずだがと探してみた。「大絶賛」は「読売」の近藤孝記者の文章のみだった。そうか「伝統と革新」がテーマなのか。確かにそうも言えるけど。

私にとってしっくりときたのは、「日経」で評論家の芝山幹郎氏が書いた文章。「この辺がサム・メンデス監督の難点か。『アメリカン・ビューティー』をはじめ、彼の映画にはときおり無駄な深刻さが混じる。これは娯楽映画の速度を落とす。アクションの大盤振舞いがしぼみ、画面の快楽度もやや後退するのだ」。

芝山氏はMをめぐる男性2人の戦いを「フロイトの喜びそうな話」と書いているが、「毎日」の広瀬登記者も「フロイト博士に深層心理の解説を願いたくなるほど愛憎関係の交じった三角関係に、肝心のアクションシーンもかすんでしまう」と書いていた。毎日は高橋諭治氏の絶賛評と2つあわせて「甘辛クロスレビュー」としており、この比較はおもしろかった。

肝心の「朝日」はどうかと探したが、わずか1週間前なのに新聞自体が見つからない。確か載っていなかった記憶はあるが。

付記:と書いてアップしたら、「朝日」の石飛記者から「載せてます」とPDF付きのメールが送られてきた。こちらは柳下毅一郎氏のボンド通らしい絶賛評だった。

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