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2012年12月 2日 (日)

相変わらずの東京フィルメックス:その(4)

空いた時間をぬうように、招待作品の『庭師』を見に行った。かつて『パンと植木鉢』や『カンダハール』を撮ったイランのモフセン・マフマルバフの新作だ。最近は長女のサミラや次女のハナの映画の方が有名だが、本作は本人と長男が出てくる。

本人が出てくるセミ・ドキュメンタリーという点では、今回の招待作品の『メコン・ホテル』や『父へのララバイ』と極めて似ている。娘を2人も監督に仕立てたこの監督が、今度は長男を使ってどうやるのかと疑心暗鬼だったが、意外におもしろかった。

父と息子は、19世紀半ばにイランで始まったバハイ教の本部、イスラエルのハイファにカメラを持って出かける。おかしいのは、2人ともそれぞれがカメラを抱えている点だ。そこに集まる信者たちにインタビューする2人。とりわけパプア・ニューギニアから来た青年の庭師に、父は惚れこむ。

息子は「お父さんはバハイ教の宣伝映画を作る気なの」と怒り出す。カメラを抱えた2人が議論する場面は本当におかしい。息子はエルサレムに行き、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の聖地をカメラに収める。

父は庭師に鏡を持たせ、不思議は世界を映しだす。あるいは庭師と海に行く。鏡一枚がこれほどの表現力を持つとは思わなかった。息子は戻ってくるが、庭をいじっている父を見て去ってゆく。父はその後を追いかける。

何のことはないスケッチだが、バハイ教の信者たちが妙にまぶしく、それ以上に聖地の庭の緑や花に心が洗われる思いがした。わざとらしい父と息子の戯れも、何となく許せてしまう。『メコン・ホテル』のような恩寵はないが、『父へのララバイ』ほど自意識に満ちていなくてよかった。

今朝、新聞を見てイスラエル映画『エピローグ』がグランプリを取ったと知った。正直なところ、あの程度で、と思った。

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