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2012年12月25日 (火)

「篠山紀信展」に欠けていたもの

新宿のオペラシティ・アートギャラリーで、最終日に「篠山紀信展」を見た。この美術館では初めてといっていいくらい多くの観客がいたが、私にはずいぶん物足りない展覧会だった。副題は「写真力」だが、あまり「力」は伝わってこなかった。

有名人を撮って、大きく広げただけ。1960年代から50年分の写真があるのに、そこにはのっぺらぼうな均質的な空間しかない。

篠山紀信は常に時代のスターを撮ってきた写真家だ。だから私が見たかったのは、三島由紀夫やカルメン・マキが見せる60年代であり、山口百恵やピンクレディが見せる70年代だった。

その時代の匂いを消して、ドーダとばかりに拡大して無秩序に見せる。まるで自分がすべてを支配している神のように。

もし時代ごとに並べ、雑誌や写真集や広告も含めていたら、もっと違ったものになったに違いない。写真は大きければいいというものではない。

最後に東北大震災の被災者の写真が10枚ほど並んでいたのも、不快だった。スターだけの方がまだ良かった。

大きく拡大した展示と言えば、少し前に六本木の21_21デザインサイトで、「田中一光とデザインの前後左右」展を見た。こちらはポスターの代表作「Nihon Buyo」など8点のみを中央の壁に拡大して展示していた。ポスターは見れば時代も目的もすべて書かれているので、こちらは逆におもしろかった。

田中がデザインした紙袋を同じ大きさで並べたり、書籍をきちんと展示していたり、こちらの展示はなかなかレベルが高かった。彼のデザインには、西武文化に代表される20世紀後半の日本の消費社会が凝縮されている。

田中展は1月20日まで開催。

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