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2012年12月12日 (水)

シドニーのベーコン

2週間前にブリスベンとシドニーに行ったが、再びその時の話をしたい。シドニーでベーコンを食べたという話ではなく、シドニーのニューサウスウェルズ州立美術館で「フランシス・ベーコン展」を見たことについて書く。

ベーコンの大きな展覧会は、なぜか外国に行った時によく出くわす。1度はベネチアのパラッツォ・コレーレで、もう1度はパリのポンピドゥー・センターで見た。

ブリスベンからシドニーに向かう飛行機の中で手に取った新聞にベーコン展の広告があった。思わず切り取って、シドニーの友人宅に着いた時、「これが見たい」と言った。もう1つの私の希望は「コアラを見たい」というもので、友人は「たった1日で2つは無理」。

コアラを見るには船に乗る必要があるが、州立美術館なら付近の公園も散歩ができるというので、後者を選んだ。行ってみると、本当に広大な公園の奥に美術館があった。

美術館は無料だが、「ベーコン展」は特別展なので有料。確か20豪ドルで1700円くらいと日本より高い。展覧会は54点を集めたもので、小ぶりではあるが、文字通り世界中から秀作を集めたもので十分な見ごたえがあった。

Francis Bacon: Five Decadesというタイトル通り、5つの時代順に作品が並ぶ。単純に40年代、50年代、60年代、70年代、80年代と10年ごとに区切ったものだが、シュルレアリスムや表現主義の影響の大きな初期から、冷戦時代を思わせる「叫び」の作品、そして色彩はどんどん明るく、タッチも軽やかになってゆく。

今回驚いたのは、オーストラリアの美術館に所蔵された作品が何点もあったことだ。日本の美術館にまともなベーコンはあったろうか。もう一つはエドワード・マイブリッジとの関係の指摘だ。ベーコンと映画と言えば、初期作品がエイゼンシュテインの『戦艦ポチョムキン』に影響を受けたことが出てくるが、映画前史のマイブリッジの写真集をベーコンが参考にしていたとは知らなかった。

マイブリッジは馬の連続写真で有名だが、その後人間の動きを捉えた連続写真を膨大に残している。ベーコンの後期のトリプティック作品がそれを参考にしていたとは。

かつて私は日本でベーコン展をやろうと動いたことがある。英国系の画廊に勤めていた女性と進めていたが、彼女がバブル紳士に引っかかっていなくなり、立ち消えになったことを思い出した。

ここまで書いたところで、今朝の「朝日」を読んでいたら、文化面に「美術館展大入りだけど」との見出しで〇〇美術館展に疑問を呈する近藤康太郎記者の記事があった。私の発言も引用されていてドキリ。9月に取材を受けたが、なかなか載らないのでボツになったと思っていたが。

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