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2012年12月26日 (水)

「観客賞」は苦手

最近、「観客賞」をウリにする映画が増えたように思う。確かに、重鎮の評論家や監督が選んだ「グランプリ」よりも、お金を払った観客の選んだものが信用できる、という感覚はわかる。最近は配給会社も「観客賞」の作品を狙っているという。

「観客賞」は主に北米の映画祭が多い。トロント、サンダンス、モントリオールなど。トロントでは「ピープルズ・チョイス・アワード」と呼び、いかにも民主的な感じだ。トロントで最近もらったのは、『スラムドッグ$ミリオネア』『プレシャス』『英国王のスピーチ』など。

実は私は「観客賞」の映画が苦手なことが多い。ハリウッドの大作ではないが、大味のメロドラマ仕立てで、最後に観客を遮二無二泣かせる、そんな印象が強い。北米の映画ファン向きというか。私にとってはむしろ、「観客をうまく乗せたで賞」という感じ。

そんなことを思ったのは、今年のトロントで「観客賞」を取った『世界にひとつのプレイブック』を見たからだ。2月22日に公開されるこの映画の監督は、『ファイター』で有名なデヴィッド・O・ラッセル。アカデミー賞の有力候補らしい。

冒頭、病院から出る青年パットが写る。自宅に帰り、パットが妻に逃げられて心を病んだことがわかる。両親や近所と諍いを起こすさまが、何とも痛々しい。そして友人夫妻のディナーで、夫を亡くしてふさぎ込んでいるティファニーと出会う。

映画はこの2人の何とも痛ましい再生の物語だ。私はそもそもアメリカの家族ものが苦手だし、精神を病んだアメリカ人の話も好きでない。そのうえ、精神科医の前や懺悔の会のような場所で自分の体験を話すという設定が耐えられない。

最後はさすが「観客賞」だけあって、それなりに盛り上がる。父親役には何とロバート・デ・ニーロが出ているし、母親役のジャッキー・ウィーヴァーといいコンビを見せる。そのほかの脇役も巧みな演技を見せる。

見終わると文句はないのだが、私の中でどこか納得がいかないのは、「観客賞」への偏見か。

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