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2012年12月18日 (火)

「美術ベスト5」を書いてしまった

年末になると、新聞などでこの1年間のランキングが始まる。「この1年の十大ニュース」に始まって、「映画ベスト10」とか「文学ベスト10」とか。所詮、誰かが趣味で選ぶものに過ぎないが、私はこれを見るのが意外に楽しみだった。

それは私自身、美術展にしても、映画にしても、評論家側ではなく、作る側に携わる、あるいは加担することの方が多かったからだ。「評論家や記者にはわかるまい」と半分馬鹿にしながらも、ランキングに入ると素直に喜んだ。「選ばれる」快楽と言ったらいいのか。

とりわけ美術展は長年仕掛け人をやってきたのに、大学の教師になりこのブログを始めてから、だんだん評論家風になってきた。そして今年初めて「美術ベスト5」なるものを選んでしまった。これは今年3月から書きはじめたWEBRONZAの依頼で、「2012年 美術 ベスト5」と題した文章が、昨日アップされた。

副題は「〇〇美術館展の陰に珠玉の個展」で、選んだのは、以下の通り。
(1)生誕100年 ジャクソン・ポロック展(東京国立近代美術館ほか)
(2)シャルダン展(三菱一号館美術館)
(3)セザンヌ――パリとプロヴァンス展(国立新美術館)
(4)近代洋画の開拓者 高橋由一(東京芸術大学美術館ほか)
(5)すべての僕が沸騰する 村山知義の宇宙(神奈川県立近代美術館葉山館ほか)

不思議なことに、ほとんど迷わなかった。「吉川霊華」展や「具体」展、あるいは「KATAGAMI Style」展を入れようかとも思ったが、1つの美術館で1本という規則を自ら課したら、するりと出てきた。

今年はポロック展以外にはありえない。美術展の場合、私にとっては比較が難しくない。まず美術館の展示施設が貧弱だと、強いインパクトを与えるのは難しい。ここに選んだ5館はいずれも広々とした最新の展示空間だ。それから、「よくこれだけ集めた」という感じは、元仕掛け人だから強いのかもしれない。

映画だと、比較が難しい。『少年と自転車』と『アウトレイジ・ビヨンド』のどちらがいいかなんて、誰が言えるのだろうか。見た劇場や試写室は関係ない。所詮、真っ暗な脳内空間だ。そして5つは難しい。そう思っていたら朝日新聞の映画ベスト3(たぶん今週金曜掲載)を今年も選んだ評論家の方が、「3つは不可能だから、決め事を作るしかない」と言っていた。

WEBRONZAの映画ベスト5の締め切りは今日だが、まだ悩んでいる。とりあえず、1位は『ミステリーズ 運命のリスボン』に決めたが、これはラウル・ルイス追悼の意味を込めて選んだ。

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