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2012年12月 7日 (金)

『カイエ・デュ・シネマ』のベストテン

フランスに『カイエ・デュ・シネマ』という月刊の映画雑誌がある。ゴダールやトリュフォーなどのヌーヴェルヴァーグの監督たちがそこで評論を書いていたという、伝説的雑誌だ。私は、たぶん80年代後半から定期購読をしている。

90年代までは、世界の映画の現状を知るために、貪るように読んだ。外国で開催された特集上映の記事を読んで、日本でその上映会を企画したことも一度や二度ではない。

ところが2000年代になってインターネットの時代になり、あまりその必要がなくなった。すべての情報は瞬時に駆けめぐる。そのうえ、紹介される映画が偏り過ぎて、最近はうんざりするようになってきた。

最新の12月号には恒例のベストテンが載っている。編集部が選ぶベストテンのほか、10名ほどの筆者のベストテンが挙げられている。それを読んで目を剥いた。

編集部のベストテンの1位は、レオス・カラックスの「Holy Motors」。これは来年日本で公開されるが、昨秋パリで見た。シネフィル好みの映画だが、まさか1位とは。いずれにしろ、カラックスにはかつての『汚れた血』のような鮮烈な輝きはない。

以下、2位はクローネンバーグの「Cosmopolis」。3位はコッポラの『ヴァージニア』、4位がアベル・フェラーラの「4:44 Last Day on Eartとジェフ・ニコルズの『テイク・シェルター』、ホン・サンスの『3人のアンヌ』の3本、7位が再びフェラーラの「Go Go Tales」、8位がミゲル・ゴメスの「Tabou」とソクーロフの『ファウスト』。10位がアイラ・サックスの「Keep the Lights On」。

いやはや、日本で未公開か、『ヴァージニア』や『ファウスト』のように、ひっそりと公開された作品ばかり並んでいる。たぶんフランスでもほとんどの人が見ていない映画ばかりだろう。

こんなベストテンはいけない、とつぶやいていたら、WEBRONZAから今年の「映画ベスト5」と「美術ベスト5」と「レストランベスト5」を書いてくれという依頼が来た。美術は容易いが、映画は難しい。頭を抱えている。それにしても「レストランベスト5」とは。

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