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2013年1月29日 (火)

ソーシャル時代の楽観主義

渡邉大輔著『イメージの進行形』を読んだ。「ソーシャル時代の映画と映像文化」という副題で、筆者は何と1982年生まれ。とにかく私はスマホもツイッターもやらないので、「ソーシャル○○」がさっぱりわからない。この本はそういった現象を映画史的に捉えていて、おもしろかった。

この本のキーワードは「映像圏」。つまり3Dにしろ、疑似ドキュメンタリーにしろ、ツイッターにしろ、最近の映像をめぐる現象を指す言葉で、いわゆる映画の次に来るものらしい。

興味深いのはこの「映像圏」が、初期映画、つまり映画が誕生した魑魅魍魎の時代と酷似しているという指摘で、これはメリエスやアリス・ギイなどを考えるとよくわかる。

さらに初期映画研究が70年代から80年代にかけて台頭したのは、ルーカスやスピルバーグなどの「ニューハリウッド派」の登場と軌を一にするという指摘も、なるほどと思った。そうして、ロラン・バルトやジル・ドゥルーズが現代のような「ソーシャル時代」を予言していたような文章が引用される。

全体を読んでそうかなと思ったけれど、どこか楽観的過ぎる気もする。授業中を含めて一日中スマホをいじる学生を見ていると思わず心配になるオジサンの私は、この現状肯定の楽天主義には違和感がある。この幸福感は、『絶望の国の幸福な若者たち』を書いた古市憲寿氏にも通じている気がする。考えたら同世代だ。

先日、同じような多幸症を感じたのは、東京都現代美術館で今週末まで開催中の「アートと人間」展と「MOT ANNUAL2012 風が吹けば桶屋が儲かる」展の2つ。「アートと人間」展の恥ずかしいほどのスノビスムと「風が吹けば」展の居直りのような日常性を見ながら、その楽観的な現状肯定ぶりが鼻についた。

そろそろ、私もスマホを買う必要がありそうだ。

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